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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年1月1日 No.3206 産業保安政策に関する経産省の取り組み聞く -環境安全委員会安全部会

企業は工場等を操業するにあたり、安全管理を徹底しているが、昨今火災や爆発等の事故が発生しており、産業事故の防止に向けた一層の対策強化が必要となっている。

そこで経団連は12月15日、東京・大手町の経団連会館で環境安全委員会安全部会(武藤潤部会長)を開催し、経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループの三木健審議官ほかから、産業保安の最近の取り組みについて説明を聞くとともに意見交換を行った。

説明の概要は次のとおり。

■ 経済産業省の産業保安行政

経済産業省は、現在原子力発電所以外の電力、高圧ガス、都市ガス、LPガス、鉱山、コンビナート等の産業保安行政を担っている。事故総数は、長期的にみれば減少傾向にあるものの、高圧ガス分野では微増している。近年、石油コンビナート等の爆発事故も発生しており、当省としては、事故防止に向けた体制を整え、取り組んでいる。

■ 三つの柱を掲げ政策を推進

政策の柱は三つある。第一の柱は、重大事故への対応である。政府は、2014年2月、保安規制を担当する総務省(消防庁)、厚生労働省、経済産業省の3省による「石油コンビナート等における災害防止検討関係省庁連絡会議」を設置、5月に重大事故の発生防止に関する報告書を取りまとめた。

そのなかで、最近の重大事故に共通する原因・背景として、(1)リスクアセスメントの内容・程度が不十分(2)人材育成・技術伝承が不十分(3)情報共有・伝達の不足や安全への取り組みの形骸化――等が指摘されている。また、再発防止のため事業者は、自主保安向上に向けた安全確保体制の整備と実施、人材育成の徹底、また業界団体は、事故情報・安全管理の共有、教育訓練支援などに取り組むべきとしている。また、地方を含む関係機関の連携強化を図るため、3省共通のホームページを通じた事故情報の発信と活用、県知事を本部長とする石油コンビナート等防災本部の機能強化等を実施している。

第二の柱は、自然災害への対応である。東日本大震災時の火災等を踏まえ、南海トラフや首都直下型等の大地震に備え、各種施設・設備の耐震基準を見直すとともに、対策費用の一部を支援し、耐震能力の強化を推進している。

第三の柱は、新たな検討課題への対応である。燃料電池自動車、水素ステーション、再生エネルギー等の新技術の普及にあたり、規制が障害にならないよう対応したい。また、ブレード破損が発生するなど、風力発電所の事故率は火力発電所に比べて高いため、定期的な補修維持の義務づけを検討している。

■ 今後に向けて

産業界も省庁も、事故をなくし安全に操業を行うことの重要性を共有している。外部コンサルタントとの連携を含め、事故防止に向けた努力を継続してほしい。また、日本の安全対策の高い潜在力の活用も課題である。産業界と意思疎通を図り、産業保安をコスト面からのみ捉えるのではなく、次世代の競争力とするよう取り組んでいきたい。

【環境本部】

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