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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年1月8日 No.3207 「日本農業の成長産業化」 -東京大学大学院の本間教授から聞く/農政問題委員会

本間氏

経団連は12月18日、東京・大手町の経団連会館で農政問題委員会(小林栄三共同委員長、十倉雅和共同委員長)を開催し、東京大学大学院農業生命科学研究科の本間正義教授から、「日本農業の成長産業化」について説明を聞いた。あわせて、「食料・農業・農村基本計画」改訂に対する提言案を審議し、了承を得た。

本間氏は冒頭、日本の食料・農業をめぐる課題について指摘。「農業生産は停滞し、農業従事者の高齢化や減少が続くなか、持続的に発展するためには、農業の生産性をいかにして向上させるかが重要である」と述べた。

そのうえでまず、TPP交渉と農業の成長産業化の関係性について言及。「TPPいかんにかかわらず、わが国農業の構造改革は不可避の状況である。TPPを契機に関税撤廃のスケジュールを明確にし、今何をすべきかを示すことが必要である」と説明。また、「大規模畑作で麦用に使われている播種機や鎮圧機などを水稲の乾田直播に汎用利用することで、大規模圃場での効率的な生産が可能となり、生産コスト削減につながる」「情報機器・システムの高度利用、医療・福祉分野での農業の活用、さらにはつくるプロセスを『商品化』するという農業のサービス産業化などの取り組みも重要」と、具体的な改革の方向性を指摘した。

さらに、「オランダのフードバレーのような産学官連携による食の研究開発拠点を参考に、日本でも食のクラスターを形成すべき。その際、国際戦略特区として指定されている新潟市において、『和食』のフードバレーを形成することも一案」との考えを示した。

最後に、農産物・食品の輸出戦略についても触れ、「中間層をターゲットにした牛肉や野菜・果物を積極的に輸出すべき。そのためには、日本国内での生産費削減と輸出体制の整備が必要」「日本の技術を活用して現地生産する戦略(Made by Japan)も重要」と説明した。

続く懇談では、「欧州では施設園芸型農業に関する先駆的な取り組みが進められているが、日本がこれに追いつくにはどうすればいいか」との質問に対し、本間氏は、「欧州のモデルをそのまま取り入れるのではなく、市場規模や流通構造の違い等を考慮したうえで、日本に合ったモデルを構築することが重要」と答えた。

【産業政策本部】

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