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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年2月12日 No.3211 第3回国連防災世界会議の意義と準備状況等について聞く -防災に関する委員会

説明する菅沼氏

経団連の防災に関する委員会(橋本孝之共同委員長、柄澤康喜共同委員長)は1月27日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、外務省の菅沼健一第3回国連防災世界会議担当大使から、第3回国連防災世界会議の意義と準備状況等について説明を聞くとともに、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 「防災の主流化」を目指して

2000年から12年の間の災害による経済被害額は、上昇傾向にあり、合計で1.7兆ドルにも及んでいる。また、自然災害の犠牲者の9割は途上国の市民である。途上国での自然災害は、甚大な経済損失をもたらすほか、長年の開発の努力・成果を一瞬にして奪い去ってしまう。災害発生前の長期的視野に基づいた防災への事前投資は、被災後の復興にかかる費用に比べ少額で済むといえる。そこで、あらゆる開発計画・政策に防災の観点を導入する「防災の主流化」を目指すべきである。

今年3月に仙台市で開催される第3回国連防災世界会議では、15年から先の防災・減災に関する国際指針となる「ポスト兵庫行動枠組」が採択される予定である。この枠組みは、10年前に採択された「兵庫行動枠組」を改訂し、民間セクターとの緊密な連携の重要性等の新しい要素が盛り込まれることが見込まれている。同会議には、各国閣僚、国際機関代表、経済界・NGO等民間関係者、計約5000人、全体で約4万人以上が参加する見込みであり、わが国としても国際的な防災・減災の議論をリードすることが求められる。

■ 第3回国連防災世界会議開催後を見据えて

同会議の後、今年は国連にとって重要な会議が二つ開催される。一つは「ポスト2015年開発アジェンダ」の採択が予定されている、今年9月の国連サミットである。わが国は、同アジェンダにおいて、防災を明確に位置づけることを目指している。二つ目は、今年末の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)であり、20年以降の新たな気候変動の国際枠組みが決定される予定である。気候変動によっても災害が発生する。一連の会議に向けて、今年3月に仙台から世界の防災・減災対策の充実に向けてメッセージを発していくことが不可欠となる。

この10年間で、民間セクターの防災への取り組みの重要性が非常に高まっている。わが国は、これまで各種自然災害に数多く見舞われてきたため、優れた技術・ノウハウが数多く存在しており、途上国の政府からもその発信が期待されている。

<意見交換>

講演の後、経団連から、「ポスト兵庫行動枠組」に対し「防災・減災対策に関する定量的な目標は出されないのか」「民間セクターの重要性を明確に打ち出すべき」等の意見があった。これに対し、菅沼氏から「定量的な目標の策定に向け種々工夫はなされており、困難はあるものの合意を目指している」「民間セクターの重要性に関する記載が薄くならないよう注力していきたい」等の回答があった。

【政治社会本部】

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