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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年5月7日 No.3222 IEEEのミコル会長と懇談 -産業技術委員会企画部会

講演するミコルIEEE会長(右)

経団連の産業技術委員会企画部会(須藤亮部会長)は4月15日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、米国に本拠を置く電気電子分野の世界最大規模の学会であるIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)のハワード・ミコル会長から、IEEEの活動と産業界との連携、今後の展望について説明を受け、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ IEEEについて

IEEEのミッションは、「人類に恩恵をもたらす技術革新に寄与する」ことである。ミッションの達成に向け、IEEEを産業界および技術者のコミュニティーにとって不可欠なものとするため、産業界からヒアリングを行っている。

IEEEは、電子工学の学会(AIEE)と通信分野の学会(IRE)が合併し、1963年に発足した。IEEEには、全世界160カ国以上から42万人を超える会員が参加している。アジア・太平洋地域には全体の4分の1近い10万人を超える会員がいる。

■ IEEEと日本

国内8つのIEEE支部の連携を図ることを目的にIEEE ジャパン・カウンシルが99年に発足した。これまで、多くの日本人研究者がIEEEによる表彰を受けており、日本からの貢献は大きいといえる。会員数は世界第4位であり、現在も純増している一方、将来の電気電子分野を担うといえる学生の会員数が世界第8位にとどまっていることは、一つの懸念といえる。

■ IEEEとこれからの活動

IEEEは現在、地域別に構成されているが、今後は地域の枠組みにとらわれない目的別の委員会を形成し、目的を達成した際には解散するかたちにもしたいと考えている。活動内容は、電気工学、コンピューターサイエンスにとどまらず、ナノテクノロジー、バイオ、航空宇宙、スマートシティーなどの学際的な分野にも及ぶ。

IEEEは、標準の策定、会議の運営、ジャーナルの出版などの活動を行い、特許の引用が最も多い組織である。理系分野トップの大学、電気・通信分野などのトップ企業のほとんどはIEEEに参画している。

今後は、ジャーナルのオープンアクセス化を進めるとともに、新技術を学ぶ意欲のある技術者に向けて、教育プログラムの充実を図る。

また、15、16の両日、2020年に向けICT分野でどのようなプロジェクトが推進されるのかを概観する Metro Area Workshop を、東京で開催する。米国外では初の開催となる。

<意見交換>

ミコル会長が「IEEEによる認証が各企業での各製品や技術の採用に役立っているか」と質問したのに対し、委員からは、「IEEEによる認証が価値を持つことは理解しているが、現状、日本においては、各企業の制度とIEEEによる認証をはじめとしたグローバルな制度を結びつけているさなかだ」との意見が出された。

また、IEEE側から、特に日本で企業の技術者の会員数が減っていることへの懸念が示されたのに対し、委員からは、今後の活動として産業界の技術者へのマーケティングが必要ではないかとの意見が出された。

今後は、IEEEと経団連の各委員会や各部会とが、個別の課題について連携を図ることで合意した。

【産業技術本部】

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