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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年6月11日 No.3227 グローバルに活躍する博士人材の育成について -各大学の先進的な取り組みを聞く/産業技術委員会産学官連携推進部会

経団連の産業技術委員会産学官連携推進部会(永里善彦部会長)は5月28日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、文部科学省の塩見みづ枝大学振興課長から「博士課程教育リーディングプログラム」について、また慶應義塾大学の神成文彦教授、大阪大学の藤田喜久雄教授、お茶の水女子大学の古川はづき教授から、各大学の取り組みを聞いた。さらにプログラムで学ぶ博士課程学生も交え、意見交換を行った。

■ 博士課程教育リーディングプログラム

文部科学省が進める博士課程教育リーディングプログラムとは、大学院で5年一貫の先進的な教育を行い、グローバルに活躍するリーダーの育成を進める新たな教育プログラム。2011年度から開始され、これまでに計30大学、62プログラムが採択されている。ここでは専門的教育に加え、課題解決能力の育成などを重視した教育が行われており、すでに多数の学生が各種学会、アイディアコンペ等で高い成果を上げている。

■ 各大学の先進的な取り組み

慶應義塾大学では、「超成熟社会発展のサイエンス」というプログラムを推進している。計13研究科から選抜された学生が、文理にまたがる2つの修士号を3年間で取得する点、産業界のメンターによる問題発見力・企画力を開発する少人数ゼミを行う点などが特徴であり、これらの活動を通じて同プログラムは中間段階で文部科学省からトップ評価を得ている。

また、同じくトップ評価を得ている大阪大学は、複雑な将来課題の発見・解決を先導し得る人材を育成する「超域イノベーション博士課程プログラム」を進めている。ここでは、課題解決プロセスの構成を学ぶための教育カリキュラム、国内・海外双方の企業での長期インターンシップなどを通じ、博士課程で得た専門知識を社会に実装する力を持った人材の育成を目指している。

そして、女性の理工系人材育成に向けたプログラムを一昨年から進めているお茶の水女子大学では、企業が求める人材を「状況変化に柔軟に対応できる基礎力があり、チームワークで確実に成果を出せる人材」と定義し、学生が他分野のメンバーと協働し、チームでの研究成果創出を重視する学習法の実践や厳正な成果評価システムの導入などを進めている。

<意見交換>

意見交換では、文理融合教育で得られたこととして、慶應義塾大学の学生から「主専攻であるシステム技術の研究に、副専攻のマーケティングの知見を加えたことで、ユーザー視点での研究手法を理解した」等、文理融合教育が課題発見力の強化につながった例が示された。

また永里部会長からは、同プログラムを経た学生の能力を企業にも具体的に明示し、産学官連携をさらに強化するために「大学教育の質保証」の議論を加速すべきとの提案があった。最後に、この優れたプログラムが今後も持続的に行われるよう、産学官で改善、連携を深めていくことで合意した。

【産業技術本部】

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