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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年6月25日 No.3229 ミラノヴィッチ・クロアチア首相と懇談 -ヨーロッパ地域委員会

左から佐藤ヨーロッパ地域委員長、
ミラノヴィッチ・クロアチア首相、
石塚ヨーロッパ地域委員長

経団連のヨーロッパ地域委員会(佐藤義雄委員長、石塚博昭委員長)は18日、東京・大手町の経団連会館でゾラン・ミラノヴィッチ・クロアチア首相一行との懇談会を開催した。冒頭、佐藤委員長は、日本からクロアチアへの直接投資を含む両国経済関係の発展のためにも日EU経済連携協定(EPA)の早期締結が不可欠と強調し、首相の理解と支援を求めた。また会合の最後に石塚委員長から、EUとのEPAや規制協力を通じてシームレスな事業環境を実現することで、クロアチアにおける日本企業の事業を支援していくと強調した。
ミラノヴィッチ首相の発言概要は次のとおり。

クロアチア経済は2009年にマイナス成長に陥って以降、昨年まで不振が続いたが、ここにきて輸出および鉱工業生産が拡大するなどよい兆候が出ており、6年にわたる景気後退からようやく脱却しつつある。成長のモデルが変わってきたことを実感している。

工業国として中庸、平凡なレベルにとどまってはならない。「中所得国の罠」に陥らないよう、「中の上」の地位に慢心することなく、飛躍を遂げなければならない。そのためには、日本をはじめ先進国の力、すなわち投資、知識、ノウハウが必要である。観光業は極めて重要な産業であるが、観光業だけでは経済成長は持続できないし、高いレベルの国家経済を実現することはできない。海洋国家としての長い歴史と文化があり、造船業が栄えた技術と生産の強固な基盤がある。

法制度の面ではビジネスに優しく面倒な手続きもない。税率も低い。外国からの投資に対しては、さまざまな支援策や優遇税制などがある。しかし、これらの面では東欧等と大きな違いはない。むしろ、ビジネスや行政のカルチャーを強調したい。過去にあった腐敗と汚職は、現在では一切許されない。腐敗撲滅に取り組み、成功してきた。ビジネスに不可欠な信頼が広がることを期待する。

クロアチアは、経済的にも社会的にも開かれている。人的な交流や人の移動も盛んである。また、教育水準の高い労働力を有する。特に英語、ドイツ語、イタリア語などの言語能力が高い。人的資本に意識的に投資してきた効果が表れている。以前から東欧諸国等と厳しい競争をしてきており、保護主義は残っていない。良好なビジネス環境を目指し、行政手続きの簡素化を推進している。変化を嫌う人もいるが、チェンジメーカーとならなければ、歴史に足跡を残すことはできない。われわれの努力は繁栄につながると確信している。

【国際経済本部】

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