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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年9月10日 No.3238 規制改革の評価と今後の課題を聞く -行政改革推進委員会規制改革推進部会

経団連は8月24日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会規制改革推進部会(竹村信昭部会長)を開催した。経済同友会政策分析センター・アジア成長研究所の八田達夫所長から「規制改革の評価と今後の課題」について説明を聞いた。
説明の概要は次のとおり。

1.成長戦略としての規制改革

生産性向上の方法には、(1)技術開発を通じたイノベーションの創出(2)構造改革を通じたセクター間の生産性格差の是正――の2つが存在する。構造改革を実現した例としては、開国による綿花の全面輸入や石油の輸入自由化が挙げられる。一方で、構造改革は輸入綿花による国内の綿花生産の消滅やエネルギー構造の変革による石炭産業の衰退など、生産性の低い産業に携わる人々に犠牲を強いることもある。

そのため、既得権集団は政治家を利用して参入規制を法制化し、産業の新陳代謝を阻害する。「株式会社による農地所有の禁止」「病床規制」「美容師養成施設の修学期間」「都心の容積率規制」などは、岩盤のような参入規制として既得権を守っている。岩盤規制を生み出す原因は、日本の国家公務員制度や雇用法制とも関係しており、これらはマグマのように強い力を持っている。

アベノミクス第3の矢である成長戦略はこれらの規制を打ち破り、生産性の高いセクターに資源を集中投入して経済成長することを志向している。成長戦略を遂行するうえで、(1)都心の容積率緩和など景気対策に即効性のある内需促進型の規制改革(2)国家戦略特区の活用(3)改革の犠牲となった低所得者への再分配の強化――の3点が重要である。

2.規制改革の成果と今後の課題

規制改革はこれまで「医薬品のコンビニやインターネット販売」「株式会社の農地借り入れ」「医療機器の審査期間短縮」「病児保育向けの往診に対する16キロメートル規制の緩和」「外国人医師の診察制限緩和」などの成果を挙げたが、「株式会社の農地保有の解禁」「診療報酬基準の改革による包括払いの導入」「流動性を高めるための雇用規制改革」など、多くの課題が残されており、一層の改革が求められる。同時に、規制改革会議と国家戦略特区の担当大臣を一本化することに加え、構造改革特区や総合特区など既存の特区制度を再整理するなど、規制改革の推進に向けた制度改革に取り組むことも重要である。

【産業政策本部】

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