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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年10月1日 No.3240 少子化対策の推進と子供の未来応援国民運動 -有村少子化対策担当相に聞く/人口問題委員会

講演する有村大臣

経団連の人口問題委員会(岡本圀衞委員長、隅修三委員長)は9月11日、東京・大手町の経団連会館で委員会新設後初会合を開催し、有村治子内閣府特命担当大臣(少子化対策)から、政府の少子化対策の取り組み状況等について説明を受けた後、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 少子化の現状と政府の取り組み方針

団塊ジュニア世代が生まれた約40年前、年間の出生数は200万人ほどであったが、足もと2014年は約100万人と半減している。ここまで少子化が深刻化した背景として、平均初婚年齢や第一子出産平均年齢の上昇が指摘されている。

現状を打破すべく、政府は今後5年間を「少子化対策集中取組期間」と位置づけた。結婚したい、子供を授かりたいという人々の希望を具現化できるよう、あらゆる政策を講じていく。

■ 生み育てやすい環境の整備

都市部で問題となっている待機児童の解消に向けて、政府は13年度から「待機児童解消加速化プラン」を推進し、17年度までに合計40万人分の保育の受け入れ枠を確保すべく、着実に取り組んでいる。15年度からは、「子ども・子育て支援新制度」をスタートさせた。消費税率引き上げが延期されるなかにあっても、優先的に財源を充て、幼児教育や保育等の質・量の拡充を図っている。

長時間労働の是正も重要な課題だ。毎日夜遅くまで働いていては、夫婦の間に子供を授かろうという雰囲気は出てこない。女性の活躍推進を図るうえでも、長時間労働は大きな阻害要因となっている。従来の働き方を見直すべく、社会全体で意識改革を行う必要がある。

政府は、意識改革の活動の一環として、6月に「さんきゅうパパプロジェクト」を立ち上げた。これにより配偶者の出産直後の男性の休暇取得を促進する。子供が生まれた日、子供を初めて自宅に迎える日、子供の名前を届け出る日、この3つの節目に、父親である男性従業員が休暇を取ることが当たり前になるよう、協力いただきたい。

このほか、政府は妊娠・出産に関する正しい知識の普及や、自治体の結婚に対する取り組みの支援等を実施しており、個々人が結婚や妊娠・出産の希望がかなえられるよう取り組んでいる。

■ 子供の貧困対策への協力要請

少子化と同様、子供の貧困も大きな問題になっている。一人親家庭等の子供たちの進学率は、全世帯の平均より格段に低い。母子世帯では、非正規・低年収となることが多い傾向がある。親から子、さらにその子供たちにまで至る貧困の連鎖を断ち切らなければならない。4月に経団連役員を含む各界各層を発起人とした「子供の未来応援国民運動」の集会を行い、10月には「子供の未来応援基金(仮称)」を創設することとした。現在、貧困の状況にある子供に寄り添って草の根で支援を行っているNPO等があるが、財政的基盤が脆弱なところが多い。真に意義ある活動を行っているNPO等を見極め、透明性、公正性を確保したうえで、その支援に基金を活用したいと考えている。

経団連の会員企業には、同基金に対する寄付のほか、募金活動の呼びかけをお願いしたい。また、子供の貧困対策に資するボランティア活動に協力していただきたい。

【経済政策本部】

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