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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年10月15日 No.3242 IT等の技術革新とらえた今後の規制改革の課題聞く -行政改革推進委員会規制改革推進部会

経団連は9月24日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会規制改革推進部会(竹村信昭部会長)を開催し、慶應義塾常任理事/慶應義塾大学総合政策学部教授の國領二郎氏から「IT等の技術革新をとらえた今後の規制改革の課題」について説明を聞いた。概要は次のとおり。

1.規制改革の基本スタンスと重点分野

規制や制度は、その時々の技術体系や社会・経済情勢の変化にあわせて最適化すべきものであり、不断の見直しが必要である。対面原則のように、規制は外形的に担保可能な手段で規定されるケースが多いが、外形基準はイノベーションの阻害につながることもある。規制の設置趣旨に立ち戻り、新たな技術により設置趣旨が達成可能ならば積極的に受け入れるべきである。

また、規制改革を進めるうえでは、目的や目標の明確化が重要である。少子化・高齢化に伴う供給ボトルネックの克服に向け、人的・物的資産を高度活用して生産性の向上を図ること、同時に、FintechやIoT、ロボット、人工知能等で、既存のビジネスや産業構造が変わる可能性があるなか、国としてリーダーシップを発揮して環境整備を行うことが求められる。これらを踏まえ、今後の重点分野としては(1)地方の自律的維持を助ける取り組み(遠隔医療・遠隔教育における規制緩和)(2)子育て世代の女性や高齢者の活用推進(在宅ワークを後押しする制度整備)(3)新たなビジネスモデル等への対応(シェアリングエコノミーの普及に向けた業法改革、IoTにより発生が見込まれるデータの所有権の整理)――が挙げられる。

2.これまでの取り組みと今後の展開

私が座長を務めるIT総合戦略本部の規制制度改革分科会では、法令に基づく書面の義務化を見直している。遠藤紘一内閣情報通信政策監の尽力で12年ぶりに網羅的な点検作業が実施された。引き続き、担当府省の回答を踏まえ重要項目の電子化に向けた点検を進めるとともに、地方自治体や民間が主体となる手続きの見直しにも取り組む。

今後の展開は2つ考えられる。1つ目は、ITの利活用を促進する新法の制定に向けた議論の集約化である。マイナンバーの導入を踏まえ、帳簿や領収書等における電子化の原則を貫徹すべきである。2つ目は通信インフラをめぐる競争の枠組みについての検討である。業界内で寡占化の弊害が見え始めるなか、IoTの展開を見すえ、競争政策や通信ネットワークのあり方等について再検討が必要と思われる。

【産業政策本部】

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