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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年10月22日 No.3243 消費者契約法・特定商取引法の見直し状況聞き意見交換 -消費者政策委員会消費者法部会

経団連は9月30日、東京・大手町の経団連会館で消費者政策委員会消費者法部会(土屋達朗部会長)を開催した。内閣府消費者委員会事務局の丸山達也参事官、増田朋記参事官補佐から消費者契約法・特定商取引法の見直し状況について説明を聞くとともに、これら2つの法律を所管する消費者庁の加納克利消費者制度課長、桜町道雄取引対策課長も交え、意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 消費者契約法の見直し

 消費者委員会では、内閣総理大臣からの諮問を受け、消費者契約法について、社会経済状況の変化への対応、同法施行後の裁判例の蓄積等を踏まえた対応という観点より、昨年10月から専門調査会において見直しの検討を進め、今年8月に「中間取りまとめ」を公表した。

  1. (1)社会経済状況の変化への対応
    消費者契約法では、消費者が事業者から勧誘時に事実と異なる説明等の一定の行為を受けて誤認し、契約の申込みまたは承諾をした場合には、これを取り消すことができる。昨今、情報通信技術の発達等により、ネットでの不特定多数に向けた広告等をみて契約を締結し、トラブルに至る事例もみられる。そこで、現在は不特定多数向けの広告等は含まれないとされる「勧誘」の要件を見直すことを検討している。また、高齢者の消費者被害が多発していること等から、事業者が消費者の判断力の不足等を利用して不必要な契約を締結させた場合に消費者に取消権を認めることについて、引き続き事例を踏まえ検討することとしている。

  2. (2)裁判例等を踏まえた対応
    消費者の利益を不当に害するため無効とされる条項の類型について、裁判例等を踏まえた追加・具体化を、実務への影響を勘案しつつ、検討することとしている。現在、消費者の解約権等を放棄・制限させる条項等について検討を行っている。

■ 特定商取引法の見直し

特定商取引法についても、同法の施行状況を踏まえた購入者等の利益の保護および特定商取引の適正化のための規律のあり方について、内閣総理大臣からの諮問を受け、今年3月から専門調査会において検討を行い、8月に「中間整理」を公表した。

  1. (1)訪問販売・電話勧誘販売における勧誘に関する行為規制の見直し
    特定商取引法では一度断られた消費者に再度売り込みをかけることを禁止する「再勧誘禁止」が規定されているが、専門調査会では、その執行の強化や解釈の明確化・変更、飛び込み勧誘を制限する新たな行為規制の導入、事前参入規制の導入等が検討された。しかし、これらの対応策については、そもそも議論の前提として立法事実の検証が必要であるとの意見があり、共通認識の形成には至っていない。

  2. (2)執行上の課題
    営業停止処分を受けても、その役職員などが新たな会社を立ち上げて不適切なビジネスを続けるなど法規制の潜脱を図ろうとする事案に対応するため、行政処分の効力の拡大について検討を進めている。また、悪質な事業者を市場から排除するべく、事前参入規制等の導入についても、その適否も含め検討している。

◇◇◇

同日、同部会では、「中間取りまとめ」および「中間整理」に対する意見を取りまとめ、消費者委員会に提出した。経団連は今後、両専門調査会における審議への経済界の意見の反映に努めるとともに、今回の見直しが一般的な事業者の健全な取引活動に悪影響を及ぼすものとならぬよう、丁寧かつ慎重な議論を求めていく。

※意見書の詳細は経団連ウェブサイトに掲載

【経済基盤本部】

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