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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年3月3日 No.3260 榊原会長記者会見

経団連の榊原定征会長は2月24日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

経済情勢について榊原会長は、為替は1ドル=112円を切り、株価も1万6000円を下回っているが、日本経済のファンダメンタルズは堅調であり、いずれも実体経済とはかけ離れた水準であると強調した。他方、多くの企業が想定する為替レートは118円程度であり、このまま期末を迎えるとなれば、企業業績にも直接影響を及ぼすとして、市場が日本経済の実体を踏まえた姿に戻ることに期待を示した。

マイナス金利の影響をめぐっては、少し長い目で評価していく必要があると指摘。銀行の貸出金利や住宅ローン金利が下がるなどプラスの効果も現れつつあり、銀行経営への影響も当初懸念されたほど大きくないとした。そのうえで、今は経済再生に向けてあらゆる手段を総動員すべき時であり、経済の好循環に向けた効果が現れることを期待すると述べた。

また榊原会長は、同一労働同一賃金の考え方について言及。正規、非正規などの雇用形態の違いにより、賃金に不合理な格差が生じているのであれば、その解消を目指すべきと指摘。今年の経労委報告でも非正規労働者の正規化や時給の引き上げを呼びかけ、各社において取り組みが進められていると述べた。そのうえで、多くの日本企業では、仕事の内容や責任の程度のみならず、期待、役割、転勤を含む将来的な人材活用などさまざまな要素を勘案して賃金を決めており、同一労働同一賃金についてはわが国の雇用慣行を踏まえた議論が必要と強調。安倍総理も日本の雇用慣行を尊重しながら制度設計を行うと発言されており、基本的な考え方について理解を得られているとした。

採用選考活動については、選考活動の開始時期を8月から6月に2カ月前倒しした新スケジュールのもとで初めての採用選考活動となるが、昨年指摘された課題が少しでも改善されることを期待したいと述べた。

英国とEUの関係については、英国がEUに残留するかどうかは6月23日に実施される国民投票で英国民が決めることとしたうえで、日本企業にとって英国は米国に次ぐ第2位の投資先(フロー)であり、約10兆円の投資残高があることを挙げ、経済界としてはEUへの残留を期待していると述べた。また、英国がEUを離脱するとなれば、世界経済全体にマイナスの影響を与えかねないとの懸念を表明した。

与党議員をめぐる問題については、閣僚、国会議員として自らを律し、事実関係を確認したうえで発言すると同時に、自らの発言に責任を持たねばならないと指摘。発言や言動が政権運営や国会審議に影響を与えることがあってはならないと強調した。そのうえで、今国会には来年度予算だけでなく、重要法案が多く控えており、遅滞なく成立させていくことが重要との考えを示した。

【広報本部】

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