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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年4月14日 No.3266 金融庁から最近の会計監査および開示をめぐる動向を聞く -金融・資本市場委員会企業会計部会

経団連は3月25日、東京・大手町の経団連会館で金融・資本市場委員会企業会計部会(野崎邦夫部会長)を開催した。金融庁総務企画局の田原泰雅企業開示課長から、今般の会計不正事案の発生等を契機として金融庁に設置された「会計監査の在り方に関する懇談会」から公表された提言の内容、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの議論状況について説明を聞き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 会計監査の信頼性確保や開示をめぐる検討状況

会計監査の在り方に関する懇談会では4回にわたって議論を行い、3月8日にこれまでの議論を取りまとめた提言を公表し、会計監査の信頼性確保のための幅広い取り組みについての提言を示した。

監査法人のマネジメントの強化は重要な課題であり、今後金融庁において有識者会議を設置し、「監査法人のガバナンス・コード」の策定に向けた検討を行う。また監査法人の独立性確保の観点から、「監査法人のローテーション制度」について、金融庁において調査・分析を行う。そのほか、有価証券報告書等における会計監査に関する開示の充実や欧州で始まっている監査報告書の透明化(長文化)の取り組み等についても検討を行うべきである旨を提言している。また、日本公認会計士協会や公認会計士・監査審査会で取り組むべき施策についても、できるところから取り組みが始められる予定である。

金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループでは、建設的な対話を促進する観点も踏まえ、投資者が必要とする情報を効果的かつ効率的に提供するための情報開示のあり方等について、これまで4回にわたって議論を行っており、今後、取りまとめに向けた議論を行っていく。(1)決算短信および四半期決算短信について、監査および四半期レビューが不要であることを明確化するとともに、記載を要請する事項を極力絞り込む(2)株主総会日程について、企業が7月の総会開催を選択することが容易となるように、また株主確定手続きが1回で済むようにするための制度整備を行う――といった方向で議論が行われている。

<意見交換>

同懇談会の提言に対し、「監査法人のマネジメントについては問題意識を持っており、監査法人のガバナンス・コードの開発は、時宜に適った取り組みだ」「監査報告書の透明化(長文化)は、監査法人の守秘義務の問題の整理とともに、ボイラープレートな開示にならないように慎重に検討すべきだ」「監査におけるITの活用が提言されたのはよいことだ」といった意見が出された。

ディスクロージャーワーキング・グループについては、「株主総会の開催時期は企業の判断に任せるべきであり、今回、企業が7月の総会開催も選択できるように制度整備を行うことは妥当だ」「非財務情報の開示については、無味乾燥な開示とならないように、今後は、開示の自由度を上げる方向で議論すべきだ」「金融機関等の別記事業の開示の簡素化についても、今後の検討課題としてほしい」といった意見が出された。

◇◇◇

その後、企業会計基準委員会から公表された「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見募集」への対応のほか、3月決算において留意すべき点等について報告を行った。

【経済基盤本部】

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