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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年5月26日 No.3271 グローバルサプライチェーンをめぐるILOや労働組合側の取り組み等を聞く -雇用政策委員会国際労働部会

経団連は16日、東京・大手町の経団連会館で雇用政策委員会国際労働部会(得丸洋部会長)を開催した。ILO(国際労働機関)本部労働者活動局のマリア・ヘレーナ・アンドレ局長から、グローバルサプライチェーン(以下、GSC)をめぐるILOや労働組合側の取り組みや考えについて、説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ ILO本部労働者活動局の取り組み

今年のILO総会では、GSCが議題として取り上げられる。ILO本部の労働者活動局では、労働者団体の活動を支援しており、昨年12月には、各国の労働者団体を集めて、GSCに関するシンポジウムを開催した。こうした取り組みを踏まえて、ILOならびに労働者側の見解について説明したい。

■ GSCの現状

経済のグローバル化が進むなか、現在、世界の貿易の60~80%がGSCを通じて行われており、世界の5人に1人がGSCにつながっていると推定される。こうしたなか、ILOとしても、雇用の促進、良質な労働環境の確保、持続可能な経済成長の実現等を目指して、GSCに関与していく必要があると考えている。

■ GSCを取り巻く課題

GSCをめぐっては、非正規労働の増加や一部における劣悪な労働条件、低賃金と所得格差、労働安全衛生の欠如等の問題がある。加えて、労働者の社会的保護の確保、団体交渉権の保障、男女間の平等、ワーク・ライフ・バランスの推進といった問題についても考える必要がある。こうした課題の解決に向けて、政労使の社会的対話の促進や企業の法令遵守等に向けた対策も求められる。

■ ILOの取り組み

GSCについては、すでにOECD多国籍企業行動指針、国連グローバル・コンパクト、ILO多国籍企業および社会政策に関する原則の三者宣言等で一部対応がなされているが、ILOとしては、GSCをよりよいものとするため、各国で労働条件の格差の改善、経済をはじめ政策の改善、ガバナンスの強化、良好な労使関係の構築、労働監督体制の強化等が図られるよう支援を行っていく。

そうした取り組みにおいては、加盟国における国際労働基準の批准と活用の促進が重要となる。ILOの国際労働基準については、アジアと中東では他の地域に比べ、結社の自由、強制労働、差別、児童労働といった中核となる重要な基準の批准が進んでいない。ILOとしては、こうした国際労働基準の批准とともに、その遵守を加盟各国に対して引き続き求めていく。

【国際協力本部】

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