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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年6月30日 No.3276 企業年金制度をめぐる動向を聞く -社会保障委員会年金改革部会

経団連は16日、都内で社会保障委員会年金改革部会(牧原晋部会長)を開催し、厚生労働省年金局の内山博之企業年金国民年金基金課長(当時)と山本進基金数理室長から、「企業年金制度をめぐる動向」について聞くとともに、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 企業年金制度をめぐる現状と課題

公的年金の所得代替率が低下するなか、老後の所得確保における上乗せ年金の重要性が高まる一方、特に中小企業を中心に、企業年金を実施する企業が減少している。また、企業年金を実施する企業の近年の傾向として、確定給付型年金(以下DB)から確定拠出型年金(以下DC)へのシフトが進みつつある。これらの状況変化に加え、働き方の多様化への対応や企業年金の普及・拡大なども踏まえ、社会保障審議会企業年金部会における検討を経て、DC法の改正やDBの制度改善への対応を行っている。

■ 改正DC法の概要

5月24日に成立(6月3日公布)した改正法により、(1)個人型DCの加入者範囲の拡大(2)中小企業向けの「簡易型DC」の導入(3)「個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度」の創設――等の措置が講じられる。また、運用商品の選択を行いやすい環境整備を図る観点から、加入者に対する継続投資教育を企業の努力義務とするとともに、商品提供数の抑制などの内容も盛り込まれている。加えて、運用商品を選択しない者への対応として、一定の手続きを経ることで「指定運用方法(デフォルト商品による運用)」を加入者が選択したものとみなす規定を整備した。商品提供数の抑制に関連した商品上限数や「指定運用方法」の選定基準については、企業年金部会のもとに専門委員会を設置して今後詳細を検討することとしている。

■ 確定給付企業年金の弾力的な運営について

現行のDB制度では、景気の変動に応じて、企業の拠出額が変動しやすい構造にある。そこで、不況期等に掛金増加につながらないよう、あらかじめ「将来発生するリスク」を測定し、その水準を踏まえて掛金の拠出を行う「リスク対応掛金」の仕組みの導入を検討している。あわせて、この仕組みを活用し、将来発生するリスクについて、労使合意を前提に労使でリスクを柔軟に分け合うことを可能とする「リスク分担型企業年金」を導入する予定である。法令上はDBの一類型として位置づけられるが、会計上の取り扱いとしては、企業会計基準委員会の公開草案によれば、積み立て不足の際に事業主による追加的な拠出が生じないDCとして取り扱う方向となっている。

■ 特別法人税の取り扱い

積立金に対する「特別法人税」について現在、特例措置により2017年3月末までの課税が凍結されている。17年度以降の取り扱いについて、今夏の税制改正要望のなかで関係者からの意見を踏まえて対応をしていきたい。なお、特別法人税に関しては、今般のDC法改正に関する参議院の審議の過程で「廃止について検討を行うこと」との附帯決議がなされている。

【経済政策本部】

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