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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年9月1日 No.3283 経済外交めぐる諸課題について聞く -英国のEU離脱・国際テロ対策の動向など/経済外交委員会

これまでにない多様なリスクが世界中に拡大、波及するなか、企業がグローバルな事業活動を展開するうえで、国際政治経済情勢に関する情報収集は欠かせない。そこで、経団連の経済外交委員会(大林剛郎委員長、片野坂真哉委員長)は8月5日、東京・大手町の経団連会館で外務省の片上慶一外務審議官(経済)、能化正樹領事局長、山田滝雄国際協力局長から、英国のEU離脱や国際テロと海外邦人の安全対策等について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ 英国のEU離脱に対する動向

現状、英国政府がEUに対して離脱通告を行う時期は不透明であるが、複数のEU加盟国では来年選挙を控えていることから、これら一連の選挙前に離脱を通告すれば、離脱連鎖を懸念するEUから厳しい条件を突きつけられることは明白である。このため、通告にそれなりの時間を要する可能性もある。

こうしたなか、日本政府では、7月26日に安倍総理とメイ首相の間で電話会談を行うなど、英国およびEUに対し、首脳・外相レベルでさまざまな働きかけを行っている。同会談では、在英日系企業の事業に悪影響が及ばないよう、英国とEUが協調し今後の交渉の見通しを明確に示すことなどを強く要請した。また、7月27日には、萩生田官房副長官を議長とする「英国のEU離脱に関する政府タスクフォース」を立ち上げた。政府が一体となって、英国とEUの離脱交渉においても、経済界の声を踏まえた日本の考え方が適切に反映されるよう、働きかけを行っていく。

■ 国際テロと海外邦人の安全対策

今年7月、バングラデシュ・ダッカのレストランが襲撃され、日本人7名が犠牲となった。ISIL(イラク・レバントのイスラム国)は「今やすべての日本人と日本権益は、どこでみつけようと、あらゆるところにいるカリフ国の兵士および支援者たちの標的である」旨繰り返し言明しており、日本人もテロの標的になる可能性がある。

一匹狼によるソフトターゲットへのテロが増加し、事前の把握や対策が困難となるなか、外務省としては、情報収集・分析を強化するとともに、安全対策に資する情報の発信強化に努め、安全対策面で脆弱な中小企業との連携を推進する。また、最新の海外安全情報等を受け取れる「たびレジ」への登録や企業トップのリーダーシップによる安全対策強化をお願いしたい。

さらに、省庁横断で「国際協力事業安全対策会議」を設置し、新たな安全対策の策定に向けた検討を進めている。8月中に取りまとめ予定の最終報告の主な柱は、(1)脅威情報収集・分析・共有の強化(2)現地での行動規範(3)ハード・ソフト両面の防護措置、研修・訓練の強化(4)危機発生後の対応(5)関係者の危機管理意識の向上――等となる方向である。

【国際経済本部】

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