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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年9月29日 No.3286 ICTの海外展開と国際連携に向けた総務省の取り組みを聞く -情報通信委員会

経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で情報通信委員会(内山田竹志委員長、中西宏明委員長、近藤史朗委員長)を開催した。総務省の鈴木茂樹総務審議官から、ICTの海外展開・国際連携への同省の取り組みについて説明を聞き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ ICTの進展と国際政策のトレンド

かつては、一部の独占通信企業に影響するICTに関するルールをデジュール標準(公的標準)で決めていた。その後、通信が自由化され、インターネットも普及したことにより、市民団体やユーザーも含めたマルチステークホルダーによる議論が行われるようになった。近年ではOTT(Over-the-top)の進展に伴い巨大サービス企業が圧倒的なシェアを背景に事実上の世界標準を決める時代になりつつある。あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)の進展のなか、ICTの影響を受ける産業分野は大きく拡大している。あらゆる企業が国際的なICT政策のトレンドを知り、技術革新や新興国の台頭等を見据えて事業戦略を立てなければならない。

■ 国際政策の方向性

総務省の国際政策には大きく2つの方向性がある。

1つ目は企業の海外展開の支援を行うことである。国内の労働力人口が減少し、市場が縮小するなか、アフリカなどの新興国の需要を取り込む必要がある。先日行われたTICADⅥ(第6回アフリカ開発会議)のように、首相自らのトップセールスで質の高いインフラの海外進出を支援していく。地デジ日本方式も世界18カ国に採用されており、このインフラや協力関係を核にして他のICT分野にも展開していきたい。

2つ目は日本企業のビジネスチャンス創出等を目指して、国際的なルールづくりを先導することである。今年4月には約21年ぶりとなるG7情報通信大臣会合をわが国で開催した。共同宣言には、質の高いインフラの推進や情報の自由な流通を盛り込み、会議では高市早苗総務大臣がAI(人工知能)開発原則案を提案した。これらの成果はOECDやG20などの議論にもつながっている。

■ 今後の国際会議における産業界への期待

G7やG20等以外にも、国際的なトレンド形成・標準形成の枠組みは多数存在している。今後もAPEC TEL(電気通信・情報作業部会)、インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)、日EU間や日米間の政策対話などの開催が予定されており、民間が参加できる会議も数多く存在する。日本企業のプレゼンス向上のためにも、各会議において議論の初期段階から参加することが大変重要である。

今後も官民で認識を共有し、連携しながら海外展開を進めていきたい。産業界の積極的な参加を期待している。

【産業技術本部】

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