Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年1月1日 No.3298  第53回四国地域経済懇談会を徳島で開催 -「日本経済の再生に四国から挑む~GDP600兆円経済の実現を目指して~」をテーマに

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あいさつする榊原会長と小川会長(左から2人目)、
小川社長(同3人目)(8日、阿南市の日亜化学工業)

経団連と四国経済連合会(四経連、千葉昭会長)は12月7日、徳島市内で「第53回四国地域経済懇談会」を開催した。経団連から榊原定征会長はじめ審議員会議長、副会長らが、四経連から千葉会長はじめ会員約150名が参加。「日本経済の再生に四国から挑む~GDP600兆円経済の実現を目指して~」を基本テーマに意見交換を行った。

また、懇談会前の昼食懇談会では、飯泉嘉門徳島県知事を招き、徳島県の創生に向けた取り組みなどについて四経連首脳を交え、意見交換を行った。

開会あいさつで四経連の千葉会長は、地方創生の実現には、四国地域の産学官が一丸となって、グローバルな産業競争力を高めるとともに、魅力ある雇用の場を創出し、地方への新しい人の流れをつくる必要があるとの認識を示した。そのうえで、高速道路のミッシングリンクの早期解消など、インフラ整備の遅れの解消が地方創生に不可欠と指摘。四国の新幹線実現に向けて、官民一体で取り組んでいく決意を述べた。

続いてあいさつした経団連の榊原会長は、足もとの景気は持ち直しの兆しが出始めているものの、経済の好循環のカギを握る個人消費や設備投資は力強さを欠いていると指摘。デフレからの脱却と経済の再生を確実に実現し、GDP600兆円経済を実現させるため、経団連として政治との連携をしっかり取りながら、山積する重要政策課題に全力で取り組んでいくとの決意を表明した。そのうえで、地域経済の活性化は、わが国の経済再生に向けた最重要課題との認識を示した。

■ 産学官連携に基づく産業活性化と人口減少対策の推進

その後2つのテーマを設定して意見交換が行われた。まず「産学官連携に基づく産業活性化と人口減少対策の推進」では、産学連携の強化と人口減少に関する四経連からの問題提起に対し、経団連から(1)四国の国立5大学を合算した教職員と学生の数は、東京大学と同等規模であり、各大学の特色を活かしたシナジー効果の発現に期待(内山田竹志副会長)(2)他地域と比べて四国は、地元で育ち、学び、働きたいと考える学生の多さが特色であり、この点を活かしていくことが産業の育成や成長のカギとなる(友野宏副会長)(3)人口減少問題への対応として、女性の活躍推進、ワーク・ライフ・バランスの充実、外国人材の受け入れ促進が求められる(岡本圀衞副会長)(4)Society 5.0の実現は、地方も含めたわが国全体の成長戦略の柱であり、産学官が一体となってその具体化に取り組む必要がある(中西宏明副会長)――との意見があった。

■ 地方創生に不可欠なインフラ整備と観光振興

「地方創生に不可欠なインフラ整備と観光振興」では、四国の新幹線実現と観光振興に関する四経連からの問題提起に対し、(1)四国に対する外国人観光客の認知度を高めるため、多言語での説明やSNSでの情報発信をより一層充実させることが重要(岩沙弘道審議員会議長)(2)四国の新幹線整備の実現のため、まずは地域内の観光・産業拠点づくりを通じて、四国への関心を一層高めていく必要がある(工藤泰三副会長)(3)四国遍路の世界遺産登録を目指す活動とともに、四国遍路以外の観光資源の素晴らしさを積極的にアピールすることも必要(木村康副会長)――との意見があった。

最後に古賀信行副会長が、「地域経済の活性化なくして、日本経済の再生はない」との覚悟を持って、四経連と締結した連携協定(9月29日号既報)の実現に向け、取り組みを進めていきたいと締めくくった。

翌8日に一行は、四経連の千葉会長とともに阿南市の日亜化学工業本社ならびに辰巳工場を訪問。小川英治会長、小川裕義社長らから日亜化学工業の沿革や製品などについての説明を受けるとともに、LEDの製造工程を視察した。

【総務本部】