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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年1月19日 No.3300 第20回「経団連 Power Up カレッジ」 -「大変革時代の経営戦略~ワークスタイル改革」/大和証券グループ本社の鈴木会長が講演

経団連事業サービス(榊原定征会長)は12月9日、東京・大手町の経団連会館で第20回「経団連 Power Up カレッジ」を開催し、大和証券グループ本社の鈴木茂晴会長から講演を聞いた。講演の概要は次のとおり。

■ ワークスタイル改革の必要性

企業が環境変化に対応し、付加価値の高い商品・サービスを提供して持続的な成長をしていくには質の高い労働力を確保する必要がある。そのためには、若い世代が希望を持って働く社会の実現が必要であり、働き方の改革がカギとなる。当社では女性活躍、ワーク・ライフ・バランスの推進を経営戦略の根幹に位置づけて取り組んでいるが、それらが企業の持続的な成長につながると確信しているからである。

金融業界は目にみえる商品を開発・販売するわけではなく、商品自体に差がないため、社員がお客さまと信頼関係を築き、それを礎に発展していくしかない。企業の競争力の源泉は社員の高い志である。高いロイヤリティーとモチベーションを持った集団にすべく、すべての社員が生き生きと活躍できる職場づくりのためさまざまな施策を実施している。

■ 持続可能な働き方のカギは時間管理

企業が持続的に発展するには、社員の働き方も持続可能でなければならない。最近問題になっている長時間労働は、長期的には息切れしてしまい、持続可能ではない。価値観も多様化し、仕事だけでなくプライベートも楽しんでいきたいという時代になってきた今、限られた時間で成果を出すという意識の浸透が重要になっている。

当社では、2007年から19時前退社をスタートした。100年以上続く働き方を本気で変えるには、強制力を持たないと定着しない。上司は過去の成功体験に基づき仕事のやり方を指導してしまうものであり、彼らにすべてを任せたら短い時間で成果を出して早く帰ろうということにはならない。そこで会社が時間管理についてきちんと指示する必要がある。重要なのは決められた時間内できちんと仕事をすることであり、日本の組織は方向転換して、短時間で成果を挙げる習慣を身につけなければいけない。

当社では19時前退社の導入により、自己研鑽のために勉強する社員が圧倒的に増えた。社員が能力を高めてくれれば、サービスの質向上につながり、結果的に会社のプラスにもなる。

■ 会社の本気度

女性の活躍支援、ワーク・ライフ・バランスの強化はすべての企業が標榜しているが、わが社は何が違うかと聞かれれば「本気度」だと答えている。さまざまな制度を導入するとともに、それらを気兼ねなく利用できるようにするための仕組みも工夫している。すべての制度が成功しているわけではなく試行錯誤しているが、社員にとって今より少しでもよい会社になるよう、会社が努力し続けることが重要である。

■ プロとしての心構え

私が知る経営トップは皆「自分は運がいい」と言っている。運は努力している人にしかやってこない。運は人が運んでくるので、人間関係を大事にしてほしい。

リーダーとしてはどれだけ多くのスタープレーヤーをつくったかが重要になる。そのためには、部下に仕事のプロフェッショナルとしての心構えを持ってもらう必要がある。プロは、(1)自分で高い目標を掲げることができ、責任を持って挑戦しようという意欲を持ち(2)成果を出すという約束を守り(3)成功するために徹底的に準備し(4)高い能力を獲得するために時間、努力、お金などの代償を進んで払う。プロに共通するのは、「天は努力する人に必ず報いる」と信じていることである。部下は将来、ブーメランのように皆さんの力になる。皆さんの情熱と行動力に期待している。

【経団連事業サービス】

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