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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年2月16日 No.3304 今後の日本の通商政策について懇談 -通商政策委員会

経団連は2日、東京・大手町の経団連会館で通商政策委員会(伊東信一郎委員長、中村邦晴委員長)を開催し、経済産業省通商政策局の渡辺哲也通商機構部長から今後の日本の通商政策について説明を聞くとともに、意見交換を行った。

渡辺氏は今後の通商政策について、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)、WTO等の状況を交え、次のとおり説明した。

■ TPP協定

米国のトランプ大統領は、TPP協定からの離脱と二国間交渉の追求を指示する大統領覚書に署名した。わが国は、各国に先駆けてTPP協定を承認し、国内手続きを終えて寄託国のニュージーランドに通知した。安倍総理が国会で繰り返し答弁しているとおり、米国に対し、腰を据えてTPP協定の戦略的・経済的な意義を働きかけていく。

米国を除く11カ国で発効をとの主張もあるが、各国の期待が大きく変わってしまうため、そう簡単ではないと考える。各国が国内手続きを終えて米国の参加による発効を待つということはあり得るが、これは米国抜きでTPP協定を発効させてしまうこととは異なる。

TPP協定の成果は、アジア・太平洋地域の通商協定のスタンダードとすべく、12カ国が多大な努力によって長年交渉した到達点であり、各国ともそう簡単にあきらめられるものではない。わが国として、TPP協定の発効を目指して各国と議論していく方針に揺るぎはない。

米国との関係では、まずはわが国企業による対米投資や雇用など地域に根差した貢献を新政権に理解してもらう必要がある。今後、相互に利益のある貿易・投資関係をいかに構築できるかを議論していくことが重要であると考える。

■ NAFTA(北米自由貿易協定)

NAFTA見直しの具体的内容について、メキシコは、交渉には応じるが自国にマイナスとなるならばNAFTAに残る意味はないとの姿勢であると一部閣僚が発言している。メキシコやカナダで活動する日本企業が不利にならないよう、経済界とも協力しつつ、さまざまな方法で日本として立場を主張していきたい。

■ RCEP

RCEPは、TPP協定と並び、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の形成につながる道筋と位置づけられており、電子商取引や投資・知的財産、国営企業の規律、政府調達など、TPPと同様の分野も交渉されている。ASEANは今年中の妥結に意欲的であるが、域内のサプライチェーンの高度化に資するよう、TPP協定をベンチマークとし、質の高い内容を目指すことが重要である。

■ 欧州関係

日EU EPA交渉は、昨年末の妥結を目指したが、困難な部分でまだ隔たりが残っている。できる限り早期に大枠合意を実現させたい。

英国のEU離脱に関しては、今年3月に英国からEUに離脱通知がなされる予定である。

■ WTO等での議論

ドーハ・ラウンドは停滞中だが、WTOでは分野別の交渉が行われており、2015年には拡大情報技術協定(ITA)交渉が妥結に至った。昨年内の妥結は見送られたが、環境物品協定(EGA)交渉も進展している。新たなサービス貿易協定(TiSA)交渉も、有志の23カ国・地域で進められている。電子商取引など国際ルールが必要な新分野についても、WTOでの議論が活発に行われている。

メガFTA中心の政策が困難となるなか、新たな国際ルールづくりに向けて、G7、G20でのコンセンサス形成が重要である。この点、グローバルビジネスを展開する産業界からのインプットが必要であり、B7、B20とも連携しつつ、戦略的に議論を推進したい。

【国際経済本部】

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