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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年2月23日 No.3305 ASBJから「2017年の国内基準の開発・国際的な意見発信の課題」聞く -金融・資本市場委員会企業会計部会

経団連は1月31日、東京・大手町の経団連会館で金融・資本市場委員会企業会計部会(野崎邦夫部会長)を開催し、企業会計基準委員会(ASBJ)の小野行雄委員長、小賀坂敦副委員長らから、今年の国内基準の開発・国際的な意見発信の課題について説明を聞くとともに、意見交換を行った。その後、経団連事務局から同部会の意見を取りまとめた「のれんの会計処理に関するアンケート結果の整理」が報告された。
ASBJによる説明の概要は次のとおり。

■ 国内基準の開発状況

収益認識基準は、IFRS15号「顧客との契約から生じる収益」を出発点として基準開発を行っている。現在、業種固有の事項への対応や重要性の考え方等の課題を抽出しており、代替的な方法を追加すべきか、今後具体的な提案を行う。単体財務諸表については、経営管理上のニーズから連結財務諸表と同じ基準にすべきだという意見がある一方、連結と同じ会計基準とすることで子会社等におけるコストの増大を懸念する声もある。収益認識基準については、2017年6月までに、公開草案を公表することを目標としている。

わが国の会計基準を国際的に整合させる取り組みのうち、IFRS9号「金融商品」、IFRS10号「連結財務諸表」、IFRS13号「公正価値測定」、IFRS16号「リース」については、今後できるだけ早い時期に進め方を提案したいと考えている。

そのほか、税効果会計については日本公認会計士協会の実務指針の移管作業を行っており、特に開示項目の検討を行っている。またマイナス金利関連では、1月27日に「債権の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取り扱い」(案)を公表した。3月末までに取りまとめ公表したいと考えている。

■ 国際的な意見発信

国際会計基準審議会(IASB)では、「のれんの会計処理」(日本基準のように償却処理を再導入すべきか、減損テストのみとする現行基準を変えないか)について、今年春以降に議論を再開する予定である。ASBJでは、日本のアナリスト11名にのれんについてヒアリングを行っている。今後リサーチ・ペーパーを公表する予定であり、「のれんの償却」についての意見発信を継続する。

そのほか、IASBでは、「概念フレームワークの見直し」が行われているが、当期純利益については公開草案とは大きく変わらない内容で取りまとめられる予定である。今後のIASBでのメインテーマの1つとなる「基本財務諸表プロジェクト」では、「営業利益」「EBIT(Earnings Before Interest and Tax)」など損益計算書の小計項目の追加についても議論される予定であり、ASBJではオールジャパンの対応を図るべく、日本の市場関係者の意見をよく聞いてIASBへの意見発信を行っていく。

<意見交換>

ASBJの説明の後に意見交換が行われ、参加企業からは、「収益認識基準の開発で、子会社レベルまでIFRS15号をそのまま適用すると、企業にとってのコストの増加につながるので、実務への影響を配慮した基準開発を行うべきだ」「IFRS15号の会計処理をベースに日本基準を開発することには賛同するが、IFRS15号の開示要求は過剰であると考えており、日本基準にそのまま取り込むべきではない」「のれんの会計処理の利用者向けアンケートについては、利用者がのれんの情報をどのように利用して、その情報価値をどう評価しているのかといった、のれんの会計情報としての有用性に着眼した分析を行うべきだ」といった意見が出された。

【経済基盤本部】

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