2016年から17年初めにかけて、中央環境審議会の専門委員会で、廃棄物処理法の見直し等に関する検討が行われた。2月にまとめられた報告書には、経団連の主張を受けて、廃棄物処理分野における効率的・効果的なシステムのあり方について検討する旨が盛り込まれている。
そこで経団連は、政府における今後の具体的な検討に向けた基本スタンスを示すため、14日、「廃棄物処理分野における情報の電子化の推進に関する提言」を取りまとめ、公表した。概要は次のとおり。
■ 背景と意義
廃棄物処理法は、1990年代に深刻な社会問題であった不法投棄等への対応のため、数次の改正が行われた結果、極めて厳格な法律となっている。排出事業者責任の徹底や悪質な処理業者の排除を目的とした規制強化に伴い、各種行政手続きは煩雑となり、遵法意識の強い事業者に過度な負担を課している。
電子政府化が推進されているなか、廃棄物処理分野においても電子化を推進し、事務手続きの合理化とともに、廃棄物の不適正処理防止や資源の有効利用など、廃棄物処理分野の課題解決を図るべきである。
■ 電子化すべき内容
(1)処理業者の許可情報等の公開・一元管理
排出事業者は、委託先の選定に際し、処理業者の許可情報を個別に処理業者から入手して確認している。行政が信頼性あるデータベースを構築し、許可情報を公開すれば、排出事業者はスムーズかつ適切に処理業者を選定でき、廃棄物処理の適正化が進む。
(2)報告手続きの電子化・合理化
廃棄物処理分野において行政は事業者に対し、多くの事項について報告を求めている。行政が情報を把握する必要性は理解するが、報告項目の重複や様式の不統一等について、改善を求める事業者の声は多い。廃棄物処理法により義務化されているマニフェストの記載事項と、他の報告事項を整理・統合することで、事業者の事務負担の軽減および行政の運営効率化が図られる。
(3)許可申請手続き等の電子化
処理業者や処理施設設置者は、役員等に変更があるたびに自治体へ届け出る必要がある。こうした手続きは、全国規模で許可を有する事業者にとってとりわけ負担が大きい。すでに手続きの電子化を実現している自治体の事例等を参考に、許可申請等の情報を一元管理できる、全国的なシステムを構築すべきである。
(4)遵法性向上のための機能付与
廃棄物の適正処理推進の観点から、遵法性向上のための機能を持たせたシステムを構築することが重要である。例えば、委託先処理業者の許可品目以外の廃棄物情報を入力できないシステムにすることなどが考えられる。
■ 今後の進め方
各関係者にとって、電子化推進の意義は大きい一方、電子マニフェストの使用を原則化するための措置など、解決すべき課題は多い。
まずは環境省が主体となって検討会を設置し、循環型社会の形成に向けたあるべき姿を描いたうえで、解決すべき課題や方策等について検討を行うことが重要である。
【環境エネルギー本部】