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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年4月6日 No.3311 梅田駐ベトナム大使からベトナムの政治・経済情勢や日越関係について聞く -日本ベトナム経済委員会

経団連は3月17日、東京・大手町の経団連会館で日本ベトナム経済委員会(高橋恭平委員長、中村邦晴委員長)を開催し、梅田邦夫駐ベトナム大使から、ベトナムの政治・経済情勢や日越関係、天皇皇后両陛下のベトナムご訪問の様子等について聞き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ ベトナムの政治・経済情勢

ベトナムの政治情勢は集団指導体制のもとで安定している。ドイモイ路線に基づく市場経済化・対外開放を継続して推進する一方で、所得格差の拡大、汚職の蔓延、不透明な行政手続き、大気汚染等の課題が顕在化している。これらの解決に向け、ベトナム政府は日本政府に対して人材育成等の協力を要請しており、対応を検討中である。

経済面では、昨年の経済成長率は6.2%、1人当たりGDPは2000ドルを突破した。引き続き発展の余地はあり、2016年から5年間の平均成長率目標は6.5~7%、2020年の1人当たりGDP目標は3200~3500ドルである。また、ベトナム政府が推進する国有企業改革を日本政府が支援している。

■ 日越関係の現状と見通し

今年は両国間の要人往来が活発であり、安倍総理(1月)、天皇皇后両陛下(2~3月)がベトナムをご訪問、今後はフック首相はじめ多くのベトナム政府要人が来日する予定である。

ベトナムは世界有数の親日国かつ戦略的利益を共有する国であり、生産拠点および市場としての魅力を有する国である。日本は貿易相手国として4位、直接投資の累積認可額では2位、援助供与国として1位である。

インフラ整備案件で円借款が果たす役割は大きいものの、ベトナムでは公的債務を対GDP比で65%以下とすることが国会で決議されている。今後は公的債務を増加させないPPPやBOT等の手法が重用されると考えている。現在、高速鉄道、都市鉄道、空港整備等のインフラ案件が進行しており、官民が連携し日本企業による案件受注を目指す。大使館も関係機関への働きかけを強化していきたい。

また、過去5年間にベトナムから来訪した技能実習生数は約5倍の7万人程度となり、留学生数は約10倍の6万人程度に増加した。同時に、不法滞在者や出稼ぎ目的の留学生が増加するなか、ベトナム人による犯罪件数が増加しており、日本政府として対策を検討している。

■ 天皇皇后両陛下のベトナムご訪問

天皇皇后両陛下のご訪問は、ベトナム側からの招待に応じるかたちで実現し、国を挙げて歓迎を受けた。政府・党首脳とのご会見・ご引見に加え、元残留日本兵家族とのご接見や、ファン・ボイ・チャウ記念館のご訪問等を行った。

両国間の歴史的つながりや人的・文化的な絆を双方の多くの国民が認識し、相互の親近感を増幅させる重要な機会となった。

【国際協力本部】

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