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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年4月13日 No.3312 「英国のEU離脱問題に関する意見―経済の持続的かつ健全な発展に資する交渉を望む」を公表 -駐日英国・EU大使にそれぞれ提出

経団連のヨーロッパ地域委員会では、今年1月、メイ英国首相が演説において、12項目からなるEU離脱の基本方針を示したことを踏まえ、「英国のEU離脱問題に関する意見―経済の持続的かつ健全な発展に資する交渉を望む」の取りまとめに着手、3月3日の委員会の審議を経て、14日の幹事会で同意見が承認された。その後、4月4日には、同委員会幹部がポール・マデン駐日英国大使、ヴィオレル・イスティチョアイア=ブドゥラ駐日EU大使をそれぞれ訪問し、同意見を手交。両大使による本国およびEU諸機関への報告を待って4月10日に意見を公表した。

経団連は昨年8月、英国国民投票の結果を受けて、「英国のEU離脱問題に関するとりあえずの意見」を公表している。およそ半年を経た今回の意見では、交渉にあたって、英国あるいはEUいずれかのためということではなく、その副題にあるとおり、両国が新たなパートナーシップを通じて、経済の持続的かつ健全な発展を目指すよう強く求めている。さらに、企業の事業活動に大きな支障が生じることのないよう、英国とEUとの間の市場の一体性および事業の予見可能性を、できる限り確保するよう努めるべきであるとあらためて指摘した。

具体的には、9項目(後掲)を掲げており、なかでも、現行の関税同盟に限りなく近い関税協定の実現、広範な分野における規制・基準の整合性の確保、十分かつ切れ目のない移行期間の設定などが特に重要である。

なお、今回の意見取りまとめ以降、3月29日には、メイ首相が欧州理事会のトゥスク議長に離脱の通知を行い、これを受けて、3月31日にはEU側が交渉ガイドライン案を公表した。今後、4月29日にEU側が同ガイドラインを決定したうえで、交渉が始まる見込みである。経団連では、引き続き日本政府とも連携しつつ、ブレグジットをめぐる交渉状況の把握に努めるとともに、わが国企業の懸念・関心事項を英国・EU双方に伝えていく。

意見に掲げた9項目

〔英・EU共通〕

  1. 限りなく関税同盟に近い「関税協定」の実現=無関税貿易の存続、簡素な通関手続き、利便性の高い原産地規則(付加価値比率の引き下げ、関税分類番号変更基準との選択制の採用、FTA締結国への拡大累積規定の導入)
  2. 広範な分野における規制・基準の整合性確保
  3. 英・EU域内グループ会社間のサービス移転、資金移動、クロスボーダー組織再編の自由の維持
  4. 在英のEU国籍就労者および在EUの英国籍就労者が享受している権利の保障(交渉の対象とせずに速やかに実現)
  5. 英・EU間の自由なデータフローの確保、日英EU三者間の自由なデータフローの実現
  6. 離脱協定と新たな枠組み協定(英EU FTA)の同時合意が実現しない場合の十分かつ切れ目のない移行期間の設定
  7. 円滑かつ速やかな法人設立手続き(免許等の取得を含む)の確保

〔対英国〕

  1. 移民流入の管理と労働力(高度技能を有しない労働力を含む)へのアクセスの確保との間の適切なバランスの確保
  2. 現在、英国がEU加盟国として自由貿易を享受しているEU域外の第三国・地域との、現行に準ずる高いレベルでの特恵アクセスの確保

【国際経済本部】

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