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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年4月13日 No.3312 公正取引委員会「独占禁止法研究会」報告書(案)の評価と課題を聞く

経団連と21世紀政策研究所(三浦惺所長)は3月27日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、同研究所の上杉秋則研究主幹(元公正取引委員会事務総長)から、課徴金制度の見直しにかかる公正取引委員会「独占禁止法研究会」の報告書(案)の評価と課題を聞くとともに、弁護士の多田敏明氏(日比谷総合法律事務所)、山田香織氏(フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー法律事務所)から、それぞれ弁護士実務を踏まえた説明を聞き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

上杉氏

多田氏

山田氏

■ 「独禁法研究会報告書(案)の評価と課題」
21世紀政策研究所研究主幹・上杉秋則氏

今回の課徴金制度の見直しは、EUのように当局に大幅な裁量を認めるものではなく、基本的な事項を法定したうえで、限定的に政令・規則に委任するというものである。

検討課題とされていた調査協力インセンティブの付与については、課徴金減免制度の拡充により図られる。カルテル等に関する情報を自主的に提供する事業者にインセンティブを与えるべく、適用事業者数の上限および申請期限を撤廃し、事業者が提供する情報の付加価値によって減額率を決定する制度となる。

この新しい制度では、減額率の決定にあたっての評価対象から供述調書を除外することとされており、従業員からの供述聴取に代えて、事業者が従業員から事情聴取し、その結果を当局に陳述書として提出する方法をいかに活用するかが課題となる。

事業者が自らの減額率の適正さをいかに判断するかであるが、EUのように、競争者(他社)の証拠も十分に開示されなければ付加価値の評価は困難であり、意見聴取手続で開示される証拠により評価できるとする報告書(案)には課題が残る。

手続保障については、秘匿特権に運用で配慮する方向性が示されている。一方、弁護士の立会いなど一部の防御権については、調査協力インセンティブを高める今回の見直しを踏まえてもなお時期尚早とされ、見送られている。

■ 「弁護士実務の観点から」
弁護士・多田敏明氏

課徴金減免制度における減額率の決定にあたって供述調書は考慮されないので、物証のつながりを陳述書として提出するなど、供述調書以外の部分でいかに協力の価値を高めていくかが課題となる。

減額率の適正さについては事業者自ら評価する必要があるが、意見聴取手続において他社証拠は閲覧しか認められておらず、不十分である。

■ 「弁護士実務の観点から(EU)」
弁護士・山田香織氏

EUでは、「企業の協力」と「当局の裁量」の両輪による調査の効率化が図られているが、事業者が専門家集団である当局に対抗できるようにするため、秘匿特権、全面的な証拠開示をはじめとする手続保障が充実している。また、わが国とは異なり、ヒアリング・オフィサーという極めて中立度の高い苦情申立て窓口が用意されている点も重要である。

◇◇◇

独占禁止法研究会の最終的な報告書は4月中にも公表される予定である。

経団連では、報告書を踏まえた法制化作業を注視するとともに、事業者の防御権の拡充に向け、引き続き取り組んでいく。

【経済基盤本部】

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