Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年7月20日 No.3324  「新たな海洋基本計画の策定に向けた提言」を公表

経団連(榊原定征会長)は7月18日、「新たな海洋基本計画の策定に向けた提言」を公表した。現在政府の総合海洋政策本部では、来春の施行をめどとして第3期海洋基本計画の検討を行っている。経団連は、近年の安全保障環境の変化や技術革新を踏まえ、最新のITやデータを活用しながら安全保障、産業振興、その他の課題を総合的に解決することを目指し、同計画に盛り込むべき点について提言を取りまとめた。

■ 安全な海洋環境の重要性

わが国は四方を海に囲まれた海洋国家であり、食料・天然資源の多くを輸入に頼り、輸出入貨物の99%以上を海上輸送に依存している。したがって安全な海洋環境の確保が極めて重要である。

昨今、わが国を取り巻く国際情勢が厳しさを増しており、安全保障・防災面での取り組み強化、経済安全保障の観点からの海事産業の競争力強化および海洋資源開発の推進が喫緊の課題となっている。

■ 安全・安心の確保

わが国の領域での中国公船や漁船の活動が常態化しており、領海の警備および排他的経済水域(EEZ)の管理体制を強化する必要がある。また、海洋観測データを活用した防災・減災の強化や、法の支配に基づく海洋秩序の構築、戦略的な国際協力についても取り組みを進めるべきである。

■ 経済安全保障の確保

経済安全保障の確保の観点から、国民生活の基盤となる海事産業の振興が重要である。わが国の海事産業は諸外国との厳しい国際競争にさらされており、ITを活用した生産性の向上や競争条件のイコールフッティングにより、国際競争力強化に取り組む必要がある。

また、わが国は天然資源の多くを輸入に頼っており、国産の海洋資源の開発は極めて重要である。具体的にはメタンハイドレートの早期の商業化に向けた技術開発の加速や洋上風力発電の低コスト化に向けた環境整備等が挙げられる。

海外の海洋資源の開発については、政府が政策金融等を通じて支援することが求められる。

■ 政策を推進する基盤の整備

次期海洋基本計画においては、宇宙基本計画と同様に、プロジェクトの実施主体と年限を明記した工程表を策定すべきである。また、資源開発はリスクが高く、企業のみで担うのは困難であることから、開発を官民一体で推進するための体制の構築が求められる。

そのほか効果的な海洋状況把握(MDA=Maritime Domain Awareness)体制を構築するために、現状各組織で個別に管理されているデータを一元化したうえで、安全保障用途と民生用とのデュアルユースで活用する視点が重要となる。民生用のデータについてはオープンにし、ビッグデータとして活用するべきである。

MDAのイメージ

提言では、Society 5.0の文脈に海洋政策を位置づけ、最新のITやデータの活用により海洋の諸問題を解決することで、Society 5.0によるSDGs(持続可能な開発目標)達成のモデルケースとなることを目指している。政府には近年の国際情勢の変化や技術の進歩に鑑み、野心的な計画の策定を期待する。

【産業技術本部】