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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年7月20日 No.3324 ロシア極東特区に関するセミナーを開催 -日本ロシア経済委員会

ロシア政府は、プーチン大統領の肝いりで「21世紀の優先的国家課題」として極東開発を推進している。

こうしたなか、経団連の日本ロシア経済委員会(朝田照男委員長)は7月5日、東京・大手町の経団連会館でロシア極東特区に関するセミナーを開催し、ロシア極東発展省の傘下に設置された極東開発公社のウラジーミル・ペチュルチク第一副長官や野村総合研究所の村田佳生常務執行役員をはじめ、関係者から説明を聞いた。

説明の概要は次のとおり。

■ ロシア極東の優位性

日露両国政府首脳のイニシアティブにより進められている、いわゆる8項目の「協力プラン」(注)の柱の1つが極東開発であることからも明らかなように、ロシア極東地域は、今後の日露経済関係発展のカギを握る。

ロシアの国土の36%を占めるとともに、石油・ガスや貴金属・ダイヤモンドをはじめ天然鉱物資源が豊富な極東地域は、欧州とアジア・太平洋地域の結節点に位置し、大自然の観光資源を有するなど、多様な優位性を備えている。

■ 極東特区における投資家支援策

こうした優位性をてこに投資機会を掘り起こすべく、ロシア連邦極東発展省の下に設置された、(1)極東開発公社 (2)極東投資輸出エージェンシー (3)極東開発基金 (4)人材開発エージェンシー ――の4機関が、投資家に対してさまざまな支援を行っている。

とりわけ極東地域に17カ所設置されている先進経済特区(TOR)ならびにウラジオストク自由港(SPV)には、ロシア政府によるインフラ整備や低廉な光熱費、ワンストップ行政サービス、税制上の優遇措置など、さまざまな投資家支援策が講じられている。

■ 日本の投資家への期待

地理的な優位性も生かしたロシア極東の重点産業は、金属・鉱業、農業、漁業・水産養殖、丸太・材木、交通・ロジスティクス、石油・ガスなど多岐にわたる。また、近年のルーブル安に伴い、燃料や肥料、労働力等にかかるコストが低下し、隣国の中国に比しても1~2割程度コスト競争力が高い。

こうしたなか、農業・食品加工業や観光業の分野において、日本からの投資が徐々にみられつつあるものの、日本からの累計投資額はTORで3件、28億7400万ルーブル(約54.6億円)、SPVで3件、623億ルーブル(約1184億円)にとどまっている。中国からの累計投資額がTORで14件、2098億ルーブル(約3987.9億円)、SPVで 11件、63億ルーブル(約120億円)であることを踏まえれば、日本からの投資が依然として少ないことは明白である。

今後、9月6~7日にはウラジオストクで「東方経済フォーラム」が開催され、プーチン大統領と安倍首相の首脳会談も予定されている。同フォーラムは、ロシア極東における日本企業のビジネスチャンスを模索するプラットフォームでもあり、日本企業の皆さまにはぜひとも極東の魅力を直接体感してほしい。

(注)(1)健康寿命の伸長 (2)快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市づくり (3)中小企業交流・協力の抜本的拡大 (4)エネルギー (5)ロシアの産業多様化・生産性向上 (6)極東の産業振興・輸出基地化 (7)先端技術協力 (8)人的交流の抜本的拡大

【国際経済本部】

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