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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年8月3日 No.3326 OECD諮問委員会2017年度総会を開催

説明する河野氏

経団連のOECD諮問委員会(櫻田謙悟委員長)は7月19日、東京・大手町の経団連会館で2017年度総会を開催し、委員会の事業報告・事業計画等の報告に先立ち、8月1日付でOECD事務次長に就任する河野正道氏(元金融庁金融国際審議官)との懇談を行った。河野氏から、国際的な金融規制・監督の分野で長くルールづくりに携わった経験に基づき、グローバル化における日本の課題や戦略のあり方等について説明を聞くとともに、活発な意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ 今日のグローバル化の課題

今年のOECD閣僚理事会(6月7~8日、パリ)における閣僚声明「グローバル化を機能させるために=すべての人々によりよい生活を」では、グローバル化の懸念への対処や、グローバル化の恩恵がより広範に共有されることなどに対するOECDの重要な役割が明記された。近年、技術革新も相まって、財、サービス、人、資本の4つの分野でグローバル化が加速している。さらに、知識、情報、技術から成る「知」のグローバル化も、不可逆的に進展している。

一方、国際的な金融危機にみられるように、グローバル化には功罪の両面があり、国民生活の満足度向上のためには丁寧な議論や政策支援、構造改革が求められる。具体的には、小学校の英語教育など教育・文化面での対策はもとより、改革の背景にある政策ビジョンや戦略を明確にし、プロセスを見える化するとともに説明責任を強化することが必要である。

■ グローバル化時代の日本の戦略のあり方

国際的な金融規制改革交渉を担当するとともに、WTOやOECDに出向した経験等を踏まえ、国際的なフォーラムにおける日本の提案力や発信力を強化する必要性を痛感してきた。日本の経済や金融に大きな影響を及ぼしかねない議論に際しては、日本が主導権を握るか、少なくとも議論の中核を担うグループに入らなければ、わが国の国益はおぼつかない。

英国のEU離脱や米国大統領選挙の結果など、近年散見される反グローバル化の動きは大きなリスクである。その一方、これまで米英主導のもとでルールづくりが進められてきた金融等の分野における交渉で、日本の金融機関がリーダーシップを示していくチャンスでもある。

このチャンスを活かし、日本の戦略を裏打ちする土台となるものは、第1に、情報収集力・分析力や英語による発信力・ディベート力の向上などに向けた人材育成である。第2に、意思決定の迅速性や機動性の向上、提案力やリーダーシップの発揮などの組織改革ならびにコーポレート・ガバナンス改革である。そして第3に、ITをフル活用した技術力の結集や発揮である。特に少子高齢化が進むなか、国民の幸福度や生活の質を左右する働き方改革を抜本的に進めていくことによって、生産性向上やワーク・ライフ・バランスの改善を図ることが重要である。

【国際経済本部】

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