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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年9月7日 No.3329 むつ小川原開発推進委員会2017年度総会を開催 -「わが国のエネルギー政策の課題と展望」を聞く

経団連のむつ小川原開発推進委員会(宮永俊一委員長)は8月4日、東京・大手町の経団連会館で2017年度の総会を開催した。

むつ小川原開発地区(青森県六ヶ所村)は、経団連がかねて開発推進を支援してきた地域。現在では原子力、再生可能エネルギーをはじめ多くの最先端施設が立地する総合エネルギー研究開発拠点が形成されつつある。

総会では、同地区開発の最新の状況と、同委員会の昨年度活動報告・収支決算および今年度活動計画・収支予算が報告された。また、資源エネルギー庁の小澤典明資源エネルギー政策統括調整官を来賓に迎え、「わが国のエネルギー政策の課題と展望」について講演を聞いた。講演の概要は次のとおり。

◇◇◇

8月3日に実施された内閣改造を受けて、安倍総理から「(1)再生可能エネルギーの最大限の導入促進、省エネルギーの最大限の推進(2)安全性の確認を前提とした原子力の重要電源としての活用(3)エネルギーシステム改革の着実な推進――等を通じて短中期のエネルギー政策をしっかり構築する」という趣旨の指示があった。いずれも重要な課題である。事業者とも協力しながら取り組みたい。

このうち原子力政策に関しては、「原子力の再稼働は順調に進むのか」とよく問われる。確かに震災後の6年間で再稼働したのは5基にとどまるが、原子力規制委員会の審査に合格しているものは再稼働した5基を含めて12基ある。遅れ気味の沸騰水型の審査が進み、審査に合格した12基を含む審査申請中の26基が順次稼働すれば、原子力比率は20%程度に上昇する。

核燃料サイクルは、資源の有効利用や廃棄物の減容化・有害度低減の観点から有用である。一定のコストはかかるが取り組んでいく。サイクル関連施設は、青森県、とりわけむつ小川原開発地区内に多く存在しており、再処理工場をはじめ未完成の施設も竣工に向けて着実に進んでいる。国としても、電力自由化に対応した核燃料サイクル事業にかかる制度整備等の対応を行っている。高速炉については、戦略ロードマップの策定に向けて検討を行っている。

高レベル放射性廃棄物の最終処分に関しては、全国を地層処分に関する地域の科学的特性に応じて客観的に色分けした「科学的特性マップ」を7月に提示した。今後、丁寧な理解活動に取り組んでいきたい。

近日、エネルギー基本計画の見直しを開始する。現行の基本計画のもとで、2030年に向けて掲げられている目標を実現するための方策を総合資源エネルギー調査会で議論する。あわせて、経済産業大臣主催の懇談会で多様な意見を集約し、非連続の地球温暖化対策が必要とされる2050年の将来像の見極めも行いたい。

<意見交換>

講演後の意見交換では、委員から、「原子力は温室効果ガス大幅削減の有力な手段だが、既存の発電所は順次40年の運転期間を満了する。リプレース・新増設の検討が必要ではないか」「原子力人材を維持・育成するためには若者を惹きつける要素が必要。原子力依存度低減のなかでの人材確保について懸念している」といった意見があった。

これに対して小澤氏から、「次期エネルギー基本計画においても、原子力は依存度を低減しつつ重要電源として活用すると位置づけられる可能性が高い。一方、リプレース・新増設の扱いは今後の審議会での議論次第である。個人的には原子力発電所の安定稼働の実績を積み重ねて信用を醸成することが大切だと考えている」「原子力人材・技術の維持は非常に大切。廃炉ビジネスももちろん有望だが、研究開発や海外との協力、新設の可能性等、総合的に方策を検討していきたい」との回答があった。

【環境エネルギー本部】

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