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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年9月14日 No.3330 フォックス英国国際通商相と英国のEU離脱と日英関係をめぐり懇談 -移行期間は現状を維持し、ビジネスへの悪影響軽減を

8月31日、日英の主要企業幹部出席のもと、「日英ビジネス・ラウンドテーブル」が都内で開催され、経団連から早川茂副会長、清水章ヨーロッパ地域委員会企画部会長らが参加した。英国政府から、メイ首相に同行して来日したリアム・フォックス国際通商大臣の出席を得て、EU離脱に伴う課題や将来の日英関係に関し意見交換を行った。

■ 英国のEU離脱をめぐる経団連の取り組み

昨年6月の英国の国民投票結果を受けて、経団連は直後の8月に「とりあえずの意見」を公表するとともに、今年3月には、メイ首相が年初に発表した離脱に関する基本方針を踏まえ、あらためて意見を取りまとめるなど、英国のEU離脱に関する日本企業の関心・懸念事項について、英国・EU双方に対して発信してきた。

3月29日、英国がEUに対して離脱を正式に通知したことから、6月に清水企画部会長がヨーロッパを訪問し、EU・英国それぞれの交渉に臨む姿勢などについて調査を実施した。その結果、現状のままでは、無秩序な離脱、すなわち離脱条件や将来の英国とEUの関係、移行措置等について英国とEUの合意が成立しないまま2019年3月末を迎える可能性が否定できないことが明らかとなった。

■ 経団連「英国のEU離脱に関する緊急提言」

こうした状況を踏まえ、ビジネスへの悪影響を少しでも軽減する観点から、経団連は8月4日、在欧日系ビジネス協議会(JBCE)と共同で「英国のEU離脱に関する緊急提言」を取りまとめた。提言では、移行措置への合意を最優先し、その間は英国が単一市場と関税同盟にとどまること、すなわち現状維持を求めるとともに、特に英国には基本的なポジションの再検討を要請した。

その後、8月下旬に英国から、EUとの税関手続きのあり方を含む一連の政策文書が公表された。移行措置の概要をはじめ、英国の方針が一定程度明らかとなったが、19年3月のEU離脱に伴って英国がEU単一市場と関税同盟から離脱するという基本方針は維持された。

■ 日英ビジネス・ラウンドテーブルにおける経団連の主張

日英ビジネス・ラウンドテーブルの場では、早川副会長がフォックス大臣に対して経団連の緊急提言を紹介し、移行期間において関税同盟と単一市場にとどまるという現状維持を英国側にあらためて求めた。

また、企業としては、19年3月末までの限られた時間で、移行期間のもとでの新たな仕組みに対応すべく準備する必要があることから、相当な負担と混乱が懸念されると述べ、このような悪影響を最小化することが、日英間の新たなビジネスの可能性を広げ、これまで維持されてきた良好な経済関係の発展につながると強調した。

■ 今後の取り組み

EU側は、まずは市民の権利や財政負担などの離脱に関する優先事項について交渉し、英国との将来の関係や移行措置については、それらの優先課題について十分な進捗を見てから議論するという方針を変えていない。

8月末の第3回交渉後、EUのバルニエ首席交渉官は、「将来の関係について議論を開始するための十分な進展があったと欧州理事会に勧告することは当分できない」と述べており、無秩序な離脱への懸念は払拭されていない。

経団連としては、引き続き交渉の行方を注視し、経済への悪影響を最小限にとどめるよう働きかけていくこととしている。

【国際経済本部】

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