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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年9月21日 No.3331 経団連昼食講演会シリーズ<第34回> -「トランプ政権のアメリカと世界」/東京大学政策ビジョン研究センター長・同大学院法学政治学研究科教授 藤原帰一氏

経団連事業サービス(榊原定征会長)は9月1日、東京・大手町の経団連会館で第34回経団連昼食講演会を開催し、東京大学政策ビジョン研究センター長で同大学院法学政治学研究科教授の藤原帰一氏から「トランプ政権のアメリカと世界」をテーマに講演を聞いた。講演の概要は次のとおり。

■ トランプ政権のアメリカ

オバマ政権時に軍事的な側面を中心に弱くなったとされるアメリカは、トランプ政権に代わっても強さが復活していない。これは、アメリカ社会において人種、民族や地域間の分裂が加速していることに起因している。政権内部の分裂も甚だしい。自由貿易を標榜するグローバリストと、アメリカ第一を主張するナショナリストの対立は激しく、政権の実態がどこにあるのかわからないような状況にある。

トランプ政権の強さは、(1)支持率が低いながらも手堅い支持層が存在すること(2)上下両院で共和党が多数を占め、最高裁判所も判事の多くが共和党派であること(3)公共投資や減税への期待から、株式市場が活況を呈していること――にみられる。一方、弱さは、(1)NATO諸国などの同盟諸国との関係が不安定になっていること(2)24名の国務次官補のうち22名がいまだに代理であるように、人事が停滞して政権基盤が脆弱なこと(3)権限を委任しないこと――など大統領個人の問題に由来する。

■ 権力競合期の世界

東西冷戦終了後の1990年代は、欧米を中心に世界の経済的・軍事的安定が実現すると思われていた。ところが、2000年代に入り、アメリカのアフガニスタン、イラクへの介入および世界金融危機を境に、欧米勢力が秩序維持から退き、これと入れ替わるかたちでロシアと中国が地域覇権に傾いている。

ロシアは、プーチン政権になって、ソ連崩壊後西側に傾いたウクライナをはじめとした東欧諸国への影響力を取り戻そうとしている。中国は、軍事的には人民解放軍による外洋展開を進めるとともに、経済的には一帯一路というキャッチフレーズのもと、ロシアより南の地域を中心に勢力を拡大しようとしている。

北朝鮮についていえば、戦争の瀬戸際に追い込んでアメリカから譲歩を引き出すべく、今年になって17発のミサイル発射実験を行っている。これに対してアメリカは、軍事的に圧迫して北朝鮮の行動を変えさせようと「強制外交」を展開したが、功を奏していない。次の戦略として先制攻撃が考えられるが、アメリカには攻撃する意思がみられない。中国はそのようなアメリカを見透かし、アメリカからの北朝鮮への圧力強化に前向きでない。

■ 今後のアメリカと世界の展望

アメリカ社会の分裂は今後も続くだろう。9月になって、医療保険、減税、予算の3つの法案の成立が注目されているものの、大統領が共和党議会と対立しており、いずれも成立が見込めない。このような政治的空白は政権失速につながる。

世界はどうなるか。貿易については、例えばTPP11など、アメリカ抜きの連携と協力を模索しなければならない。一方、同盟諸国との関係においては、亀裂が深まっているNATOの状況を打開するなど、アメリカの積極的な役割が期待される。

【経団連事業サービス】

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