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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年10月19日 No.3335 「第3期教育振興基本計画」の策定に向けた審議経過等を文科省から聞く -教育問題委員会企画部会

経団連の教育問題委員会企画部会(三宅龍哉部会長)は9月26日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、文部科学省の中央教育審議会で議論されている「第3期教育振興基本計画」の策定に向けたこれまでの審議経過の概要や、今年末に予定している答申に向けての課題、今後のスケジュールなどについて、文科省生涯学習政策局の氷見谷直紀政策課長から説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 第2期計画および第3期計画の基本理念

教育振興基本計画は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、2008年以降5年ごとに策定されており、現在は第2期計画(13~17年度)の最終年度にある。第2期計画では“一人ひとりの「自立」した個人が多様な個性・能力を生かし、他者と「協働」しながら新たな価値を「創造」していくことができる「生涯学習社会の構築」”を基本理念として打ち出しており、これは来年度から実施する第3期計画にも受け継がれる予定である。これまでの検討状況と今後の進め方は図表1参照。

図表1 第3期教育振興基本計画策定に向けたスケジュール
2016年4月第3期教育振興基本計画の策定について(諮問)
2017年1月「第3期教育振興基本計画に向けた基本的な考え方」取りまとめ
2017年
 9月19日
「第3期教育振興基本計画策定に向けたこれまでの審議経過について」
公表、10月2日から10月31日まで意見募集を実施
2017年
 10月~
意見募集・団体ヒアリング等、さらに検討
* 以下の会議等における審議の成果も答申に反映
  • 大学分科会将来構想部会
  • 人生100年時代構想会議
  • 教育再生実行会議フォローアップ
2017年内答申
2017年度内閣議決定

■ 教育をめぐる現状と課題

変化の激しい社会のなかで、(1)人口減少・高齢化の進行 (2)急速な技術革新 (3)グローバル化の進展と日本の国際的地位の低下――などは教育にも大きく影響する。また、(1)子どもの貧困など社会的・経済的な格差 (2)地域間格差 (3)教員の負担――なども注視すべき課題であり、第3期計画の策定にあたっても、社会の変化に対応したうえでそれらの課題を解決する計画とすべく、検討を進めている。

また、“教育への投資”といった側面からエビデンスベースでの検討も不可欠である。教育投資の効果は教育そのものの改善にとどまらず、少子化対策や生産性向上による経済成長にもつながる点も重要である。

■ 今後の教育政策の重点事項および基本的な方針

教育をめぐる現状と課題を踏まえたうえで、文科省では30年以降の社会を展望した教育政策の重点事項を2つ掲げている。第1は「人生100年時代を豊かに生きるための、生涯にわたる学習や能力向上」、第2に「超スマート社会(Society 5.0)を生き抜くための能力の育成」である。教育を通じた一人ひとりの「可能性とチャンス」の最大化を今後の教育政策の中心に据えて、今後の教育政策に関する基本的な方針(図表2参照)に掲げた5つの基本的方針に従って第3期計画の策定に取り組んでいきたい。

図表2 今後の教育政策に関する基本的な方針
  1. 1.夢と自信を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力を育成する
  2. 2.社会の持続的な発展を牽引するための多様な力を育成する
  3. 3.生涯学び、活躍できる環境を整える
  4. 4.誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する
  5. 5.教育政策推進のための基盤を整備する

<意見交換>

意見交換では、5つの基本的方針に基づく今後5年間の教育政策の目標、主な施策群、指標(ロジックモデル)に関し、経団連側から、特に測定指標について、具体的数値を最大限に示した「目標指標」とすべきだとの意見が出された。これに対し氷見谷氏は、指標についてはあくまで候補であると述べたうえで、現時点でのロジックモデルは、基本的方針を達成するうえでの教育政策の「目標」を示しており、「目標指標」とすると従来の目標との関係が混乱するおそれがあり、「測定指標」としていると説明した。

「大学改革についてどう考えるか」との質問に対しては、「中教審の大学分科会将来構想部会でも議論が行われている。大学教育の質の改善といった意味でも当然推進すべきであり、何を学び、何を身につけることができるか、その結果、どのような未来に進むことができるのか、といった具体的な発信を大学には求めていきたい」との発言があった。

【教育・CSR本部】

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