1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2017年11月23日 No.3340
  5. 「今後のエネルギー政策に関する提言」を公表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年11月23日 No.3340 「今後のエネルギー政策に関する提言」を公表 -豊かで活力ある経済社会の実現に向けて

政府は、今年8月から、エネルギー政策の基本的方針を定める「エネルギー基本計画」の3年に1度の見直しを開始した。これを受け経団連(榊原定征会長)は11月14日、2030年度までのエネルギー需給に関する課題を中心に「今後のエネルギー政策に関する提言」を取りまとめ公表した。

1.豊かで活力ある経済社会を支えるエネルギー政策のあり方

エネルギー政策では、安全性の確保を大前提に、安定供給・経済合理性・環境適合性のバランスを取ること(S+3E)が重要であり、この実現に向けて多様なエネルギー源を活用すべきである。政府は2015年、S+3Eの観点を踏まえて2030年度のエネルギーミックス(望ましいエネルギー構成)を策定している。この実現に向けた取り組みを一層強化すべきである。

また、国際的に遜色ないエネルギーコストの実現は、国内投資の拡充に向けた極めて重要な環境整備であり、政策パッケージ全体としてその実現を目指すべきである。

環境エネルギー分野は有望な投資分野でもある。メーカーとユーザーの双方に対して投資促進策を講じるとともに、わが国の高度なエネルギー技術の海外展開を図るべきである。

Society 5.0の実現は、自動運転による渋滞解消や空調・照明の最適制御など、エネルギー効率の抜本的改善をもたらす。技術と制度の両面で取り組みを進める必要がある。

2.各エネルギー源・政策課題に対する考え方

(1)省エネルギー

省エネルギーは基本的に3Eすべてを満たす取り組みであり、野心的な省エネ目標に向けて国を挙げた取り組みが必要である。経済界としては「経団連低炭素社会実行計画」を着実に推進する。

(2)化石燃料

化石燃料は原燃料として今後とも重要。継続的な活用に向け、高効率化と低炭素化を図る必要がある。政府は、資源外交の展開等により安価で安定的な資源調達を期すべきである。

(3)原子力

原子力の活用には、安全性の確保・向上と国民からの信頼回復が極めて重要。これを大前提に、着実な再稼働と運転期間の60年への延長を進め、ベースロード電源として活用すべきである。また、2050年といった長期的な温暖化対策等の観点から今後とも一定規模の原子力が不可欠である。リプレース・新増設を政府施策に盛り込む必要がある。

(4)再生可能エネルギー

再生可能エネルギーは、将来的に大きな役割を担うことが期待される。電力供給の不安定性や高い発電等コストなどの課題の解決に向け、産学官の総力を結集して取り組む必要がある。

一方で固定価格買取制度(FIT)は、賦課金が増加し需要家の過大な負担となっている。買取総額に上限を設けるといった抜本的な見直しを2020年度までに実施すべきである。

(5)エネルギーネットワーク

送配電網や熱導管などのエネルギーネットワークは、原子力・火力といった大規模集中電源とあわせ、屋根置き太陽光やコージェネレーションシステムなどの分散型エネルギー源の活用を意識したものにしていく必要がある。

(6)電力市場

電力市場に関し、経団連は今年1月、「電力システム改革に関する意見」を取りまとめた。引き続き小売電気料金の引き下げと安定供給の確保が実現するよう、政府の検討を注視していく。

【環境エネルギー本部】

「2017年11月23日 No.3340」一覧はこちら