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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年12月14日 No.3343 「行政サービスの見える化」に向けた取り組み聞く -行政改革推進委員会企画部会・情報通信委員会企画部会

経団連は11月20日、都内で行政改革推進委員会企画部会(大久保秀之部会長)と情報通信委員会企画部会(武山芳夫部会長)の合同会合を開催し、ユニバーサルメニュー普及協会の安井秀行代表理事、國領二郎理事から「ユニバーサルメニューと行政サービスIDの導入による行政サービスの見える化」について聞いた。概要は次のとおり。

■ 行政サービスID

マイナンバーと法人番号の導入により、国民・事業者を一意に特定可能になる一方、国や地方公共団体が用意する行政サービスを識別する仕組みは整備されていない。行政サービスのなかには、名前の異なる同じ制度や名前のよく似た別制度等があるため、名前を手がかりとした「名寄せ」は困難を極める。そこで、行政サービスにIDを付与することを提案したい。

IDの導入により、(1)利用者ニーズに合致した行政サービスの提供(2)行政サービスの改定履歴の把握(3)各自治体が提供する行政サービスの差異の把握――が容易に可能となる。その結果、国民と国・自治体の双方にメリットが生じる。

まず、国民のメリットとして、「行政サービスお知らせ便」が挙げられる。11月13日から、国民と行政のオンラインの窓口である「マイナポータル」の本格運用が始まっている。同ポータルにログインした者に利用可能な行政サービスを知らせる仕組みを導入することで、従来の申請主義から通知主義への転換を実現することができる。

国・自治体のメリットとしては、法改正等の通知の効率化に加えて、行政サービスの利用履歴(ログ)が取りやすくなることがある。これにより、施策の効果を定量的に把握できるようになり、従来の予算削減(インプット)中心ではなく、投資対効果(アウトプット)中心の行政評価・行財政改革が可能になる。

■ ユニバーサルメニュー

市民が必要な行政サービスを適切に利用するためには、情報を容易に検索できるメニューの整備も欠かせない。そこで、国・自治体の行政サービスの標準メニュー体系(ひな型)として「ユニバーサルメニュー」(UM)を開発した。各自治体のウェブサイトを比較すると、実施しているはずの支援制度が掲載されていない例や、制度の利用者が求める情報が掲載されていない例が多くみられた。このような行政サービス情報の抜け・漏れの問題を解決するのがUMである。UMの特長として(1)網羅性・検索性の高い情報構造(2)自治体の独自制度の強調(3)オープンデータとしての活用――が挙げられる。すでに国・自治体・民間のそれぞれに導入実績がある。

■ 今後の課題

行政サービスIDとUMの導入には、(1)国・自治体の制度の新設・改廃に伴う行政サービスデータの保守(2)公共性の高い団体による継続的な運用能力の確保――等の体制整備が必要である。まずは基礎部分を民間ベースで構築し、将来的には公共財として国に移管することを目指している。

UMは、子育て制度に関するメニュー化に初めて取り組んだ際、利用者である母親らが制度を使えていないことの問題意識がもとにある。民間は制度をつくることはできないものの、行政サービスを整理し使いやすくすることはできる。「使い手がつくり手になり、つくり手が使い手になる」という循環を実現していきたい。

【産業政策本部、産業技術本部】

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