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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月15日 No.3350 米国税制改革に関する懇談会を開催 -全米税制改革協議会のノーキスト会長と米国税制改革について意見交換/アメリカ委員会企画部会

説明するノーキスト会長

経団連のアメリカ委員会企画部会(守村卓部会長)は1月30日、東京・大手町の経団連会館で米国税制改革に関する懇談会を開催した。懇談会では、全米税制改革協議会(Americans for Tax Reform、ATR)のグローバー・ノーキスト会長から、米国税制改革の経緯や概要、日本企業に対する影響等について、説明を聞くとともに意見交換を行った。
ノーキスト会長の説明のポイントは次のとおり。

まず、米国の税制改革について、法人税率が38%から21%まで引き下げられたことは、すべての企業にとってプラスになる。さらに、テリトリアル課税への移行や即時償却が可能となったことにより、今後、米国への投資がさらに伸び、経済成長を促す強力なエンジンになるだろうと予測している。

また、個人所得課税については、10年間の時限的措置として減税が実施されるが、ジョージ・W・ブッシュ政権時の税制改革における減税措置の多くが民主党政権下で恒久化されたことを踏まえ、結果的に恒久化される可能性が高い。あわせて、パススルー課税に関して、構成員の個人所得課税として扱われるため、これまで最高39.6%の税率をかけられていたが、今般の税制改革により、事業所得の20%の控除が認められることになる。

税制改革全体では、今後10年間で1.5兆円の減収となるが、減税により成長率が上がれば、減収分は解消できるだろう。さらに、労働者が税制改革により実際に手取りが増えることを実感することで、中間選挙では税制改革が共和党に有利に働くだろう。また、現在、アメリカの多くの州の議会で共和党が多数派となっており、州知事も共和党系が多数派となっているため、共和党は強い勢力基盤を持っている。

さらに、貿易政策や移民政策との関係については、現在は選挙でのキャンペーンとの関係もあり、TPPから離脱するなどの政策をとっているが、今後、経済成長により富裕層だけではなく広い層にまで所得や賃金の上昇の影響が及べば、より自由貿易を志向し、成長に資する移民政策がとられるようになるだろう。

今回の税制改革による減税により、経済成長が加速し、3%の成長率が実現できる見通しである。

◇ 意見交換

ノーキスト会長による説明後の意見交換では、「米国における今後の為替相場の動向」に関する質問や、「米国以外の欧州や日本の企業も米国に投資する流れが加速するのか」といった質問、「税制改革法案で導入されたBEAT(Base Erosion Anti-Abuse Tax)」について懸念する意見、「米国税制改革が経済成長や投資に及ぼす影響」に関する質問、「トランプ政権におけるインフラ投資の見通し」に関する質問、「米国の税制改革で10年間という長い期間で税収への影響等を検討しているが、今後、日本の税制を考えるうえでも印象的である」といった意見等が出された。

【国際経済本部、経済基盤本部】

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