1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2018年2月22日 No.3351
  5. 提言「Society 5.0の実現に向けたイノベーション・エコシステムの構築」を公表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月22日 No.3351 提言「Society 5.0の実現に向けたイノベーション・エコシステムの構築」を公表

経団連(榊原定征会長)は2月20日、提言「Society 5.0の実現に向けたイノベーション・エコシステムの構築」を取りまとめ公表した。

現在、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)等の「第4次産業革命」の技術の発展が、多くの産業にパラダイムシフトと呼ぶべき変革をもたらし始めている。しかし、わが国の多くの企業はデータやAIの利活用に足踏みする状態が続いている。

こうした最先端の情報技術(IT)を現実空間に適用する際に、わが国企業が強みを持つ技術と組み合わせることで「周回遅れ」を挽回してトップランナーに返り咲くことができる。この切り札として、わが国では「Society 5.0」を官民で連携して推進している。

Society 5.0の実現に向けて

■ イノベーション・エコシステムの構築

最先端のIT技術を現実空間に適用して社会全体を最適化するSociety 5.0を実現するためには、大企業、ベンチャー企業、大学、研究開発法人等、あらゆる主体による、組織・分野を超えたオープンイノベーションのエコシステムを構築する必要がある。

■ 企業の新たな挑戦

多くの産業のあり方が根本的に変わるなか、企業が持続的に成長するには、社内の意識改革を進め、失敗を許容する風土を醸成して新しい挑戦を奨励する必要がある。

また、パラダイムシフトに柔軟に対応するために、社内のダイバーシティを確保することも不可欠となる。加えて、高度な専門性を持つスペシャリストに、全体を俯瞰できるジェネラリストとしての経験を積ませることも重要となる。

■ 大学・国立研究開発法人と企業の連携の強化

オープンイノベーションのパートナーとして、大学や国立研究開発法人への期待は大きい。産学官連携の推進に向け、近年、さまざまな取り組みが進められてきたが、まだ多くの課題が残されている。

大学には、産学官連携を推進する体制を整備することが求められる。特に国立大学は、適正な評価を行い、運営費交付金等に反映する仕組みを設けることが必要である。

国立研究開発法人には、企業との共同研究の実施状況に応じて資金を傾斜配分するドイツの「フラウンホーファー・モデル」を採用し、産学連携へのインセンティブを付与すべきである。

■ 政府の司令塔の確立

政府には、第1に研究開発投資の質・量を充実させることが求められる。具体的には、(1)政府研究開発投資の対GDP比1%を確保すること(2)産業界も評価している内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)やImPACT(革新的研究開発推進プログラム)等を継続・拡大すること(3)企業が関心を持つ魅力的なテーマを設定すること――が必要である。

第2に、規制・制度改革、データ関連制度の整備、ベンチャー政策の充実、知的財産政策の深化等、関連施策を推進することが求められる。

第3に、統合的なイノベーション戦略と、期間中の予算やKPIを含む工程表を策定することが求められる。また、この中核的な機能を果たす総合科学技術・イノベーション会議の事務局機能を強化すべきである。加えて、Society 5.0に関する国民理解の醸成に努めること等が必要である。

【産業技術本部】

「2018年2月22日 No.3351」一覧はこちら