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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年3月29日 No.3356 榊原会長記者会見

経団連の榊原定征会長は3月26日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

はじめに榊原会長は、先週、米国政府が発表した2つの通商措置に言及。まず、中国による知的財産等に関する不公正な取引慣行を理由とした通商法301条に基づく措置決定について、これは米中二国間の問題であり、慎重に見守りたいとした。そのうえで、知的財産の侵害は米国に限らず、日本企業も含めて被害を訴えている問題であり、WTOルールに従って対応するのが本来の姿であると述べた。今回のような一方的措置は、相手国による対抗措置を起こしかねず、現に中国はそうした考えを表明していると指摘。こうした動きがエスカレートすれば、「貿易戦争」のような状況に発展しかねず、世界経済に多大な影響を及ぼしかねないとの懸念を示した。

もう1つ、わが国も対象となった鉄鋼とアルミへの輸入制限措置の発動については、世界の鉄鋼・アルミ貿易に影響を与えると指摘。また、他国が対抗措置をとれば鉄鋼とアルミに限らず、他の産業にも波及する可能性があり、こちらも世界経済全体に影響しかねないことから、注意深く見守っていきたいと述べた。そのうえで、日本政府には、適用除外となるよう米国政府に強く働きかけるとともに、4月に予定される日米首脳会談などを通じて、きちんと状況を把握してほしいと要望。日本が対象となった理由の1つに日米FTAが未締結であることを指摘する意見に触れつつ、TPP11の発効が優先課題である考えに変わりはないと述べた。

株価急落の背景として、米国の保護主義的な措置などが指摘されるが、経済のファンダメンタルズは大きく変化しておらず底堅いと強調。今の動きが一時的なものか、あるいは大きく流れを変えるようなものか、しっかり見極めていきたいとした。

憲法改正について、論議を進めるためには、国民の幅広い理解と支持が前提となるとの考えを表明。今般、自民党が示した改憲案は、今後国民的なコンセンサスを形成していくにあたり、その議論のベースとなる具体案と受け止めていると述べた。本案で示された、自衛隊、緊急事態、合区解消、教育充実の4項目はいずれも、国民生活、国の安全保障のために必要なものであり、議論が進んだことは改憲に向けた第一歩だろうとした。そのうえで、改正時期は一考を要するとして、今大事なのは、森友学園をめぐる問題で説明を尽くし、政府、政治に対する国民の信頼を取り戻すことであると指摘。経済再生、北朝鮮問題、米国の通商政策など国内外に課題が山積するなか、まずは経済最優先で取り組んでほしいとの経済界の基本的姿勢を示した。

【広報本部】

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