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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年3月29日 No.3356 東大発ベンチャー・テレイグジスタンス社の取り組みを聞く -起業・中堅企業活性化委員会企画部会

経団連は3月8日、東京・大手町の経団連会館で起業・中堅企業活性化委員会企画部会(高橋誠部会長)を開催し、「東大・経団連ベンチャー協創会議」の活動の一環として、東大発ベンチャーのテレイグジスタンス社から同社の取り組みについて説明を聞き、意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ あいさつ(舘暲テレイグジスタンス社会長、東京大学名誉教授)

あいさつする舘会長

テレイグジスタンス(Telexistence、遠隔存在)とは、遠隔のロボットを通じて、その場に居ながらにしてまるで遠隔地に居るかのような感覚を伴う作業やコミュニケーションを可能にする技術であり、1980年に思い立った。研究室でのテストでは、幽体離脱をしたかのような感覚に襲われたことを覚えている。アイデアを思いついてから随分と時間がたったが、近年、技術革新によって開発が急速に進んできた。触覚を再現した試作ロボット「TELESAR V」(テレサ・ファイブ)は国内外で高い評価を得た。

こうしたなか、会社を起こしてはどうかとの声もあり、富岡仁氏をCEOに迎え、2017年にテレイグジスタンスを創業した。

■ テレイグジスタンス社の取り組み(富岡仁同社CEO)

説明する富岡CEO

当社は、テレイグジスタンスの社会実装に取り組んでいる。遠隔地に分身ロボットを設置し、5Gなどの高速通信技術を活用して人間とロボットをつなぐ。ロボット側の視覚、聴覚、触覚情報が人間側に伝わるとともに、人間側の手や腕の動きがロボット側に伝わる。現在は、量産に向けた試作機の開発に注力しており、近いうちに公開できる見込みである。

大学発ベンチャーはソリューションの開発に特化しがちで、顧客の課題を解決するという視点を忘れがちである。われわれは顧客の課題ありきで開発に取り組んでいる。テレイグジスタンスが提供する価値の1つは「遠隔就労」。コンビニチェーン等と連携して、次世代小売店舗の開発・運営に向けて検討を進めている。

会合ではこのほか、提携事例として、J.フロントリテイリングから、テレイグジスタンスの技術を活用した遠隔ライブショッピングプラットフォームの紹介があった。また電通から、テレイグジスタンスの技術に共感する企業を募った協賛パッケージの開発状況について紹介があった。

その後、開発中のロボットを用いてデモンストレーションを実施。会合終了後には懇親会を開催し、テレイグジスタンス社と会員企業の交流を図った。

【産業技術本部】

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