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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2018年4月12日 No.3358 花見のあと降雪予報のワシントン、政治もまだら模様 -ワシントン・リポート<37>

ワシントンでは、つい先日Tシャツ・短パン姿の若者が公園でバドミントンに興じていたのが信じられないほど寒い日が続いている。先週、ポトマック河畔の桜をめでたのもつかの間、週末は雪との予報に驚いた。

まだら模様は天気だけではない。米中間で繰り広げられる報復関税合戦は、まさに貿易紛争の様相を呈しており、トランプ大統領のツイートが火に油を注いでいる。通商拡大法232条に基づく鉄・アルミニウム関税賦課で日本が除外されなかったことは、やや意外感をもって受け止められており、その理由を詮索する声も多い。NAFTA(北米自由貿易協定)やKORUS(米韓自由貿易協定)のメンバーであるカナダ、メキシコ、そして韓国が除外されたことから、日米自由貿易協定への米側の期待を指摘する向きもあるが、除外のために期待に応えるのは得策ではないという専門家の意見もある。

日米首脳会談、南北首脳会談、米朝首脳会談と外交日程が目白押しだが、トランプ大統領のプライオリティーは、中間選挙から再選に向けた地盤固めであり、外交問題は一時的な支持率を左右しても、「票にはならない」と考えられている。その意味では、好景気を維持しつつ、税制改革の成果を企業、国民に実感させることがカギになっている。

中国の報復関税は、トランプ大統領の政治基盤ともいえる農業州やラストベルト地域を狙い撃ちにしているようにみえる。ブルッキングス研究所によると、中国による報復対象産業の雇用は大統領選でトランプ支持だった郡に多く、影響を受ける2783郡のうち2279郡がトランプ支持だった。保守本流を自負するサス上院議員(ネブラスカ州選出)は、中国への追加関税措置について「米国農業に火を放つものであり、われわれではなく中国を罰するプランが必要だ」と激しく批判した。

2002年、ブッシュ政権が実施した鉄鋼関税引き上げは、鉄鋼業界を助ける以上に鉄鋼利用業界を傷める結果となった。イデオロギーに走る共和・民主両党に対して、ラストベルトをはじめとする現場の意識に光を当てて大統領選に勝ったともみえるトランプ大統領が、理念に基づく対中強硬策、鉄鋼救済策によって、現場で多くの米国企業、米国民が傷つき、反発が激化した場合にどう対応するかが注目される。

こうした悩みは秋の中間選挙を控える共和・民主両党にもあり、まさにまだら模様となっている。民主党は、アラバマ州に続いてペンシルベニア州の補欠選挙でも勝利したが、アラバマ州での勝利は共和党候補のセクハラ問題が影響したとみられ、ペンシルベニア州で勝利したラム候補は、銃規制に反対し、ペローシ下院民主党院内総務への不支持を表明し、トランプ大統領への批判は控えるという「民主党らしくない」姿勢をアピールした。共和党では、トランプ大統領離れが進み、トランプ支持者がラム候補のような民主党候補に流れることで党勢が弱まる可能性がある。両党とも、イデオロギー純化の動きと現場重視のポピュリズムが錯綜し、まだら模様となっている。

(米国事務所長 山越厚志)

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