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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年4月19日 No.3359 提言「新たな高付加価値産業の創出に向けた環境整備」を公表 -わが国経済を牽引する有望産業の成長を加速させるために

経団連は4月17日、提言「新たな高付加価値産業の創出に向けた環境整備」を公表した。

デジタル化の急速な進展に伴い、従来の産業構造が大きく変化しつつあるなか、各国ともに強い危機感を持ちながらこの劇的な変化への対応を急いでいる。わが国では、Society 5.0の実現を掲げるとともに、官民一体となって生産性革命の実現に向けた取り組みを進めており、急速な産業構造の変化に対応しながら、政府が掲げるGDP600兆円を実現するためには、設備や人材への投資を通じた生産性の向上に加え、わが国経済を牽引する新たな高付加価値産業の創出が不可欠である。

こうした認識のもと、同提言では、産業競争力強化委員会企画部会の委員会社(25社)へのアンケートの結果を基に、7つの有望産業((1)自動運転 (2)革新的素材 (3)次世代蓄電池 (4)ロボット (5)フィンテック (6)革新的新薬 (7)次世代物流システム)を挙げるとともに、各有望産業の成長を加速するために必要な施策および産業横断的な施策を取りまとめた。

■ 有望産業における必要な施策

  1. 自動運転
    実用化に向けた国際競争が激化している現状を踏まえ、実証実験や法制度整備等の加速に加え、国際基準・標準づくりを主導することが重要である。

  2. 革新的素材
    データマイニングを活用して新たな素材を開発するマテリアルズ・インフォマティクスの強化が必要である。

  3. 次世代蓄電池
    世界市場シェア獲得に向けた政府戦略の早期見直しや、全固体電池等の研究開発・実用化を促進すべきである。

  4. ロボット
    社会的ニーズの高い分野における研究開発・実用化の加速や、人の感情を理解し感性に働きかけるようなヒューマンインタラクション技術の研究開発・実証を推進することが必要である。

  5. フィンテック
    レギュラトリー・サンドボックスを通じたオープンイノベーションの推進や、キャッシュレス化・ペーパーレス化の促進が求められる。

  6. 革新的新薬
    バイオベンチャーの育成強化や、創薬AIの開発・活用促進が重要である。

  7. 次世代物流システム
    総合的物流情報プラットフォームシステムであるNACCSに蓄積されたデータの共有等を推進すべきである。

7つの有望分野における必要施策

■ 産業横断的な施策

まず、「産業構造のグランドデザインの具体化」を進めることが重要であり、そのためには産業構造のグランドデザインを一元的に策定する場の明確化が必要である。例えば、経済産業省の産業構造審議会をこうした場として明確に位置づけるとともに、グランドデザインの具体化や継続的なアップデートを行うべきである。

また、「抜本的な規制改革の推進」に向け、政府一元的な推進体制のもとでレギュラトリー・サンドボックスを有効活用するとともに、特区における特例の全国展開を進めるべきである。

さらに、「海外の活力の取り込み」を促進するため、日本の研究開発力を背景とするクラスターへの誘致強化や、行政手続の簡素化・電子化、外国人材の受け入れ促進が必要である。

「協調領域の明確化およびデータ利活用基盤の整備」については、分野横断的なプラットフォームの整備による新たなビジネスの創出促進や、政府主導および公的研究機関を媒介とする協調領域の明確化およびデータ利活用基盤の整備を進めるべきである。

そして、「産業の新陳代謝の促進」に向け、コーポレート・ベンチャーキャピタルからの投資を通じたリスクマネー供給の拡大や、起業人材の育成・確保、人材の流動化促進に資するリカレント教育の拡充を進める必要がある。

5つの産業横断的な施策

【産業政策本部】

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