経団連は4月10日、東京・大手町の経団連会館で税制委員会企画部会(中村豊明部会長)を開催した。財務省主税局の門脇瞬有税制第一課課長補佐および粂野侑大課長補佐、国税庁の中村典和企画課情報技術室課長補佐、本並尚紀調査課主査、総務省自治税務局の市川康雄企画課企画官、沼澤弘平都道府県税課課長補佐、圓増正宏市町村税課住民税企画専門官から、申告納税の電子化について説明を聞くとともに、意見交換を行った。説明のポイントは次のとおり。
■ 財務省
まず、財務省から税務手続の電子化に関する全体像について説明があった。平成30年度税制改正により資本金または出資金の額が1億円を超える法人等については、法人税・地方法人税および消費税・地方消費税について、e-Tax(国税電子申告・納税システム)により納税申告書の提出を行わなければならないこととなった。この改正は平成32年4月1日以後に開始する事業年度・課税期間について適用される。なお、確定申告のほか、中間申告、仮決算の中間申告、修正申告および還付申告も対象となる。
あわせて、申告データの円滑な電子提出のための施策を実施することとした。具体的には、(1)一定の要件を付したイメージデータで電子提出された添付書類の紙原本の保存不要化や勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化などの提出情報のスリム化(2)申告書別表のうち内訳明細の記載を要する部分や勘定科目内訳明細書、財務諸表についてCSV形式での提出も可能とすること(国税庁から標準フォームや勘定科目コードを提供)(3)e-Taxの送信容量の拡大や法人税等の電子申告の添付書類の光ディスクによる提出(4)連結子法人にかかる個別帰属額等の届出書についてe-Taxによる場合の提出一元化(5)法人代表者の電子署名について、法人の代表者から委任を受けた当該法人の役員・社員の電子署名によることも可能とすること――などが順次実施される。
■ 国税庁
次に国税庁から、法人設立手続のオンライン・ワンストップ化について説明があった。法人設立手続については、現在、個別に税や登記等にかかる申請を行う必要があり、申請者にとって煩雑となっている。このため、マイナポータルを活用し、利用者が一度手続を実施すれば、法人設立に関する全手続をオンライン・ワンストップで完了できるサービスの実現を目指すこととしている。
■ 総務省
総務省からは、地方税の分野における申告納税の電子化について説明があった。法人税と同様に、資本金または出資金の額が1億円を超える法人については、法人住民税および法人事業税(地方法人2税)について、eLTAX(地方税ポータルシステム)により納税申告書の提出を行わなければならないこととなる。また、地方法人2税、個人住民税の給与所得・退職所得にかかる特別徴収および事業所税において、企業が一度の手続で全地方団体への電子納税が可能となる共通電子納税システムを導入する。あわせて、法人税の電子申告により財務諸表が提出された場合には、国税・地方税当局間で情報連携を行い、それにより法人事業税の申告における財務諸表の提出を不要とする。
<意見交換>
その後の意見交換では、固定資産税および都市計画税の納税通知書・課税明細書の書式フォームの統一・電子化に関する意見や、今後、国税庁から提供されるCSVの標準フォームについて、ユーザーインターフェースの利便性に配慮すべきだという意見、国際課税の分野の別表・添付書類においても決算書類からの転記情報等の重複を整理すべきだといった意見等が出された。
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大法人の電子申告の義務化の概要については、国税庁e-Taxウェブサイトを参照
(http://www.e-tax.nta.go.jp/hojin/gimuka/index.htm)
【経済基盤本部】