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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年6月14日 No.3365 行政手続コスト削減の取り組みを聞く -行政改革推進委員会規制改革推進部会

経団連は5月24日、都内で行政改革推進委員会規制改革推進部会(竹村信昭部会長)を開催し、政府の規制改革推進会議行政手続部会の髙橋滋部会長から、「行政手続コスト削減に向けた取り組みと今後の展望」を聞いた。概要は次のとおり。

■ 検討経緯

規制改革推進会議では、行政手続部会を中心に、政府の成長戦略で掲げた「事業者目線での規制改革、行政手続の簡素化、IT化の一体的推進」に関する検討を重ねている。昨年3月には、「行政手続簡素化の3原則」(注)を打ち出すとともに、事業者ニーズの高い重点9分野について、行政手続コスト(事業者の作業時間)を20%以上削減する目標を決定した。これを受けて昨年6月に各省庁が行政手続コスト削減に向けた基本計画を策定し、部会では2つの検討チームを設置して計画を集中的に点検した。この結果に基づき、各省庁は今年3月末に基本計画を改定した(図表参照)。

分野別のポイント
分野名取り組みの例
営業の許認可飲食店の営業の許認可に関するオンライン申請システムの構築
社会保険大法人(資本金1億円超)に関する電子申請の義務化(20年度~)
国税・地方税大法人(資本金1億円超)に関する電子申告の義務化(20年度~)
補助金各省庁・各地方自治体に共通の補助金申請システムの構築
調査・統計オンライン調査の導入
労務管理雇用関係助成金に関するオンライン申請システムの構築
商業登記等役員変更登記等に関する処理の迅速化
就労証明書地方自治体における標準的様式の普及促進
入札・契約登記事項証明書・納税証明書の提出不要化 ※検討事項

■ 点検結果

部会では、3原則をもとに基本計画を点検するとともに、省庁をまたがる分野である「営業の許認可」「調査・統計」「補助金」を対象に、「見直しの方針」を策定し、ベストプラクティスを抽出して他省庁への横展開を図った。また、中小企業から簡素化の要望が強い「行政への入札・契約」を重点分野に追加してコスト削減の目標を設定することとした。あわせて、横断的な事項として、(1)本人確認手続の簡素化(2)省庁の枠を超えたワンスオンリー(3)行政手続の完全デジタル化に向けた課題(4)国の出先機関ごとの独自の運用ルールの撤廃――にも取り組んだ。

各省庁が事業者にヒアリングを行ったところ、今般の取り組みで行政手続コストは約8000万時間(約2000億円)削減されると見込まれる。2020年以降は恒常的に負担軽減の効果が続くので、事業者が受けるメリットは大きい。

■ 今後の課題

部会は今後、(1)各省庁の進捗状況のチェック&レビュー(2)地方自治体への横展開(3)働き方改革・生産性向上の観点からのさらなるコスト削減――に取り組んでいく。なかでも地方自治体によるコスト削減が最大の課題である。鳥取県では国を上回る30%の削減目標を掲げてこれを達成し、大きな成果を挙げた。自治体における積極的な取り組みが全国に広がるよう、首長を含むあらゆるルートを通じて協力を依頼したい。

◇◇◇

約2年にわたる議論により、行政手続に関する事業者の負担や課題がどこにあるか明らかになってきた。部会では引き続きコスト削減に向けた取り組みを進めていくので、事業者からも積極的な意見をいただきたい。

(注)行政手続簡素化の3原則=(1)行政手続の電子化の徹底 (2)同じ情報は一度だけの原則 (3)書式・様式の統一

【産業政策本部】

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