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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年7月12日 No.3369 内閣官房、財務省から貿易手続き等の現状と課題について聞く -運輸委員会物流部会

経団連では、Society 5.0の実現に向けて目指すべき物流のあり方を整理し、必要な施策等について提言を取りまとめるため検討を進めている。その一環として6月25日、東京・大手町の経団連会館で運輸委員会物流部会(坂元誠部会長)を開催し、内閣官房日本経済再生総合事務局の川村尚永参事官と財務省関税局の松田誠司総務課事務管理室長から、貿易手続きの現状と課題について説明を聞き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 「貿易手続等に係る官民協議会」取りまとめ―内閣官房

日本経済再生総合事務局では、他の先進国に見劣りする日本の事業環境の改善に取り組んでいる。昨年10月設置の「貿易手続等に係る官民協議会」では、海上コンテナ貨物の輸出に関する課題であるCYカットタイム(コンテナヤードへの貨物搬入締切時刻)の短縮、港湾の混雑緩和などについて検討を進め、今年3月に取りまとめを公表した。

2001年の米国同時多発テロ後、米国等で貿易手続きが厳格化され、CYカットタイムが船積み1日前から3日前になり、物流効率が低下している。協議会ではCYカットタイムの短縮に向けて、(1)情報提供は3日前までに行い、貨物搬入の締切のみを後ろ倒しにする(2)正確な情報を提出できる荷主に限り、情報提出と貨物搬入の双方の締切を後ろ倒しする――等の案に基づき、船社・荷主双方の事情に応じた対応策を提示した。

港湾の渋滞については、特に東京港で深刻化しており、ターミナルの処理能力不足、貨物の滞留、ピーク時間の集中などを要因に、一部で荷待ち車両の平均待機時間が1時間30分を超える。解決には、CYゲート搬入票の電子化、車両位置情報を活用したコンテナの事前荷繰り、ターミナルの拡張・再編などが必要で、すでに実証実験を始めている施策もある。渋滞解消には「働き方改革」の観点も踏まえつつ、政府、港湾管理者、港湾事業者、利用者が協調して取り組まなければならない。

■ NACCSの現状と今後の展開―財務省

NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)は、輸出・貨物の通関関連手続きや船舶・航空機の入出港関連手続きをオンラインで処理するシステムである。関係行政機関への複数の入出港関連手続きの同時申請が可能となり、行政手続きの迅速化・効率化やペーパーレス化を実現している。契約社数は、航空貨物で約4500社、海上貨物で約6500社に上り、輸出申告の98%、輸入(納税)申告の99%で利用されている。

歴史を振り返ると、1977年に、貿易にかかる行政・民間の手続きを電子化するため、官民共同で航空貨物通関情報処理センター(NACCSセンター)を設立し、78年、航空貨物輸入システムAir―NACCSが、91年に海上貨物での通関等システムSea―NACCSが稼働した。その後、08年の国土交通省、法務省等のシステムとの統合を経て、10年には両NACCSを統合した。17年10月の第6次NACCSへの更改の際には、申告添付登録(MSX)業務の機能強化を図っている。NACCSセンターは現在、株式会社として活動しており、通関関係書類の電子化・ペーパーレス化や貿易関連業務の簡素化を促進し、サービスの一層の拡充に努めていきたい。

【産業政策本部】

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