経団連の日本ブラジル経済委員会(飯島彰己委員長)は7月23、24の両日、東京・大手町の経団連会館で、ブラジル全国工業連盟(CNI)と日本ブラジル経済合同委員会を開催した。
ブラジル側から、アンドラーデCNI会長、ネト産業貿易省貿易局長、コスタ外務省経済財務担当次官、コヘーア・ド・ラーゴ駐日ブラジル大使ら約50名が出席。日本側からは約150名が出席したほか、中前隆博外務省中南米局長が来賓あいさつを行った。各セッションの概要は次のとおり。
■ 貿易・投資および日メルコスールEPA
日伯双方は、自由で開かれた国際経済秩序の維持、強化が重要であるとの認識を共有した。そのうえで、両国間のさらなる貿易・投資の拡大に向けて、日本とメルコスールとの経済連携協定(EPA)の早期交渉開始を両国政府に働きかけるべく、2017年開催の第20回合同委員会での合意に基づき、経団連とCNIが共同で作成した「日メルコスールEPAに関する共同報告書」をメルコスール4カ国の駐日大使出席のもと採択した。
■ 農業・エネルギー
ブラジル側から自国の農業の発展や豊富な農産物を有効活用するバイオエネルギーの展望について紹介があるとともに、日本向け食肉、農作物の輸出についての期待が示された。日本側からは気象予測技術の農業分野への応用、農産品の持続的な安定供給を確保するための取り組み等について紹介し、両国の連携の可能性を探った。
■ 投資機会・ビジネス環境整備
日本側からは、ブラジルで事業活動を行う日本企業が直面している税制、労働、物流等の障壁、いわゆる「ブラジルコスト」の克服を通じたビジネス環境整備について要望があった。ブラジル側からはブラジルへの投資誘致に向けた取り組みや投資インセンティブについて紹介が行われ、ビジネス環境の整備が日伯協力の強化につながるとの共通認識を得た。
■ インフラ整備
貨物輸送インフラ分野および旅客輸送インフラ分野を取り上げた。ブラジル側は「投資パートナーシップ・プログラム(PPI)」の進捗状況を中心に説明するとともに、日本による高品質なインフラ整備への期待が寄せられた。日本側からは、輸送コスト増加の要因となっているインフラの未整備や、投資を行うための財源確保や金融面での制度整備に関する要望がなされ、課題解決のためにブラジル政府の一層の取り組みが不可欠との認識が示された。
■ イノベーションと技術
日本側から、日本が官民挙げて取り組んでいるSociety 5.0について説明するとともに、SDGsの達成という観点から自動走行システムへの実現に向けた取り組み、電力消費の大幅削減による環境負荷低減等、新技術の活用によるソリューションビジネスの具体的取り組みを紹介した。ブラジル側からは、CNIが27年に向けて取り組んでいるイノベーションに関する目標である「Industria 2027」について紹介があった。日伯双方は、日伯協力の新たな分野として引き続きイノベーションに注力していくことを確認した。
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討議の模様は、合同委員会の翌日(7月25日)に経済産業省で開催された「日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会」(経済産業省とブラジル産業貿易省の共催)において経団連とCNIの双方から報告され、経済界が提起したブラジルのビジネス環境をめぐる諸課題の解決に向け両国政府のフォローアップを要請した。
【国際協力本部】