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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2018年9月20日 No.3377 ラギー・ハーバード大学教授講演会を開催 -ビジネスと人権原則、ESG・SDGsの動向について聞く/企業行動・CSR委員会

講演するラギー教授

経団連の企業行動・CSR委員会(三宅占二委員長、二宮雅也委員長、津賀一宏委員長)は9月5日、東京・大手町の経団連会館で国連事務総長特別代表として「ビジネスと人権に関する指導原則」の策定を主導したジョン・ラギー・ハーバード大学教授による講演会を開催した。概要は次のとおり。

■ 企業の責任

世界人権宣言が採択されてから今年で70年を迎える。採択当時、想定されていたのは、国家による人権侵害であった。これは、二度の世界大戦を通じて、ホロコーストに代表されるような迫害、人権侵害が横行したからである。一方、今日における人権は、国家のみならず企業による影響も拡大しており、また、侵害の実態もあらわとなってきている。

こうした動きを受けて、2011年、国連人権理事会は「ビジネスと人権に関する指導原則」を採択した。この指導原則では人権を守る国家の義務を定めるとともに、人権を尊重する企業の責任を明確化、また救済措置へのアクセスを求めている。

企業は自社内部の人権対応だけでなく、事業活動により周囲に与え得る人権リスクにも対処を求められている。これは、途上国への学校建設支援などの慈善活動を行っているからといって、相殺できるものではない。

これまでは、人権侵害にかかわる企業があればその企業名を公表することで社会的制裁を科してきたが、今日では、人権保護の潮流を理解し、企業自らが人権への取り組みを情報発信していくことが求められている。そのためには、企業が人権リスクを見定め、人権デューディリジェンス(注)を企業経営に現在進行形で組み込んでいくことが重要となる。つまり、ある事業行動が、人権にいかなる影響を及ぼし得るのか、その防止のためにいかなる対策を講じるべきかを常に判断し、対応することが求められる。さらに、こうした取り組みの公表は、他のステークホルダーの取り組みの促進にもつながる。

ユニリーバを例に挙げると、同社は15年に人権報告書を公表している。これは「正直な」報告書として評価できると思う。なぜなら、現状自社が抱える人権課題が何か、どのようなリスクに直面し、どういった対策を講じているのか、対応にどのような不足があるのかを示しているからである。こうした企業の姿勢は、企業価値の創造において有効だと考える。

■ SDGsへの貢献

SDGs(持続可能な開発目標)の各目標は直接的または間接的に人権に関係しており、その達成のためには企業の積極的な参加が必要である。SDGsの達成を目指すことに伴う経済効果は12兆米ドルとの試算もある。こうした市場機会を獲得するためには、企業は市場シェアや株主価値を追求することと同様に社会的・環境的な持続可能性を追求する必要がある。

このとき、企業は自社事業モデルを人権という視点でとらえ直す必要がある。この視点の欠如は、持続可能性に結びつかない開発コストと不確実性を増大させ、将来的な事業活動を困難にする要因となる。

企業は、経営戦略を描くにあたり、人権保護のレンズを通して全体的・包括的に考察しなければならない。ひいては、これが、SDGsの達成にも寄与し、その目標達成の程度も最大化される。

(注)人権デューディリジェンス=人権に関する悪影響を認識し、防止し、対処するために企業が実施するプロセス。人権に関する方針の策定、企業活動が人権に与える影響の評価、パフォーマンスの追跡や開示など

【SDGs本部】

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