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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2018年10月4日 No.3379 むつ小川原開発推進委員会2018年度総会を開催 -核融合研究の最新成果と産業応用の可能性を聞く

経団連のむつ小川原開発推進委員会(宮永俊一委員長)は9月4日、東京・大手町の経団連会館で2018年度の総会を開催した。

むつ小川原開発地区(青森県六ヶ所村)は、経団連がかねて開発推進を支援してきた地域。現在では原子力、再生可能エネルギーをはじめ多くの最先端施設が立地する総合エネルギー研究開発拠点が形成されつつある。

総会では、同地区開発の最新の状況と、同委員会の昨年度活動報告・収支決算および今年度活動計画・収支予算が報告された。また、量子科学技術研究開発機構より牛草健吉核融合エネルギー研究開発部門部門長を来賓に迎え、「人類100億人時代を支える核融合エネルギーの実用化に向けて~研究の最新成果と産業応用ポテンシャル」と題する講演を聞いた。講演の概要は次のとおり。

◇◇◇

核融合は、燃料の基となるリチウムと重水素を海水から回収することができるため、事実上無尽蔵のエネルギーを得られる技術である。高レベル放射性廃棄物を生成しない、万が一の制御不能時に炉が暴走する危険性が低い、といった利点もある。核融合炉の実現には、超伝導やロボットといった先端技術を結集する必要があり技術的ハードルは高いが、こうした技術が進歩すれば社会への還元が期待される。

7月に閣議決定されたエネルギー基本計画において、核融合は2050年等の長期を見据えた選択肢の1つとして研究開発に取り組むこととされている。核融合が実用化できれば、パリ協定が掲げる2℃目標の達成にも大きく貢献できる。

現在、核融合の科学的・技術的実現性を確認するため、国際協力のもと南フランスに実験炉・ITERが建設されており、2025年に運転を開始する予定である。ITERは基本的に燃焼実験を行うのみで、発電は行わない。今後、実際に発電する原型炉の開発も進めていく必要があり、六ヶ所核融合研究所は大きな役割を期待されている。文部科学省核融合科学技術委員会が昨年12月に取りまとめた「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」では、35年ごろに原型炉の工学設計を終え、建設を判断することが想定されている。その前に六ヶ所村で、「グリーンイノベーション」と「ニュートロンフォレスト」の2つの構想を実現したい。

「グリーンイノベーション」は、核融合燃料となるリチウムを海水や廃蓄電池から回収する技術の実用化を目指す。すでに回収技術の水準は実用段階に近く、19~22年にパイロットプラントを整備する計画である。将来的には蓄電池の回収・製造や副生水素を利用する関連産業立地も期待される。

「ニュートロンフォレスト」では、核融合炉から生じる高速中性子が炉の材料に与える影響を調べるための核融合中性子源・A‐FNSの工学設計を25年に終え、建設に着手したい。これを軸に、製薬・医療・農業・材料といった中性子を活用する産業の集積につなげる構想である。

2つの構想の実現も経て、長期的には、むつ小川原開発地区が核融合原型炉を中核とするエネルギー産業都市に変貌することを期待している。

【環境エネルギー本部】

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