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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2018年10月11日 No.3380 早稲田大学の上野教授から「著作権法をめぐる最近の動向」聞く -知的財産委員会企画部会

経団連は9月25日、東京・大手町の経団連会館で知的財産委員会企画部会(堤和彦部会長)を開催し、早稲田大学法学学術院の上野達弘教授から、「著作権法をめぐる最近の動向」について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 著作権法改正(2018年5月18日)による「柔軟な権利制限規定」の創設

今般の著作権法改正では、情報通信技術の進展に対応し、著作物をより柔軟に利用できるようにする(権利を制限する)ため、「柔軟な権利制限規定」が創設された。

権利制限規定のあり方をめぐっては、これまで米国型のフェアユース規定導入の是非も含めてさまざまな議論が展開されたが、今回の改正では、10年以上にわたる議論の集大成として、著作物利用のニーズがある行為を3つに類型化し、そのうち2つの行為類型に「柔軟な権利制限規定」を導入した。

1つ目が、「権利者の利益を通常害さない行為類型」であり、「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」(改正著作権法30条の4)と「電子計算機における著作物利用に付随する利用」(同47条の4)に整理された。これにより、AI開発のためのディープラーニング、リバースエンジニアリング等が新たに権利制限の対象となることが明確になった。また、条文に明示されていない行為であっても、30条の4又は47条の4に該当する行為であれば、著作権者の利益を不当に害するものでない限り、広く権利制限の対象となるとされた。

2つ目が、「権利者に及び得る不利益が軽微な行為類型」であり、「新たな知見・情報を創出する電子計算機による情報処理の結果提供に付随する軽微利用等」(同47条の5)として整理された。ここでは、インターネットの所在検索サービスや情報解析サービス(論文剽窃検証サービス等)が権利制限の対象となることが明確になった。また、条文に明示されていない行為であっても、47条の5に該当し、国民生活の利便性の向上に寄与するものであれば、政令での指定を条件として、権利制限の対象とすることとされた。

著作権法にとって、権利保護と利用のバランスをいかに実現するかは永遠の課題である。今回の改正は、「明確な個別規定」と「柔軟な規定」をうまく配置することで、権利保護と利用のバランスを図った画期的なものである。著作権法の制度論は新たな時代に入ったといえるかもしれない。

■ サイトブロッキングをめぐる議論

内閣府の知的財産戦略本部に設置された「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」において、悪質な著作権侵害サイトについてサイトブロッキングをできるようにする制度整備を行うべきか否か議論が行われている。ブロッキングは、通信の秘密や表現の自由など憲法に抵触する可能性があることから、立法化については期限を切ることなく、憲法を中心とした法律問題の検討を深めることが肝要である。

【産業技術本部】

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