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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年10月18日 No.3381 「第6回企業による農業参入セミナー」を九経連と共催 -参入企業の事例と九州各県の取り組みを紹介

あいさつする十倉副会長
・農業活性化委員長

経団連は10月1日、東京・大手町の経団連会館で、九州経済連合会(九経連、麻生泰会長)と「企業による農業参入セミナー」を共催した。今回で6回目となる同セミナーには、東京および九州の関係者約80名が参加。参入企業の事例紹介とあわせて、九州各県から施策等の説明があった。

冒頭、経団連の十倉雅和副会長・農業活性化委員長は、「企業による農業参入は、Society 5.0時代の農業の実現に向けたカギ」と述べ、「企業のノウハウを活かすことで、農業における先端技術の導入や経営の大規模化による生産性の向上、付加価値の創出が期待できる」とした。

続いて、農業への参入の事例について紹介。モスフードサービスの佐藤秀行シニアリーダーならびにタカフジの松尾崇史食品・アグリ事業部取締役が、両社における参入の経緯や現時点での取り組み状況等について、実例を示しながら紹介した。

佐藤氏

松尾氏

佐藤氏は、「店舗で使用する生鮮野菜の年間を通した安定的な提供、品質確保のため、1997年に協力産地との産直ネットワークを構築するかたちで参入。自然災害やウイルスの蔓延等により、慢性的な不足に直面したことから、2006年に直営型農場『モスファーム』を設立した」と経緯を説明。そのうえで、設立・運営にあたっては、「行事への積極的な参加などを通して地域住民とのコミュニケーションを強化し、参入地域の信頼獲得が重要」である旨を指摘した。さらに、協力産地との技術交流や規格外の野菜の加工等、事業の幅を広げるなか、「生鮮野菜の安定調達はもちろん、人材育成等を通し、日本の農業活性化の牽引役となることを目指す」とした。

松尾氏は、「本社敷地内での植物工場研究開発の成果や、本業のプラントエンジニアリングで培った技術と経験を活かし、15年、大分県に大規模な環境制御型農業ハウス『愛彩ファーム九重』を整備した」と説明。農業における課題の1つであるエネルギーコストに関して、「さまざまなものを検討したうえで、最終的に自社の開発した『温泉熱利用型農業用熱交換システム』を導入。その結果、エネルギーコストが大幅に削減され、環境負荷が低く、安定的で持続可能な農業が実現できている。さらに、温泉熱を利用することによって周年栽培、周年雇用が可能となり、地域の雇用創出にも貢献している」と強調した。今後については、「高度な栽培技術と歴史を持つオランダとの業務提携を通じて、さらなる生産性の向上を図りたい」と意気込みを語った。

次に、九州各県が企業の受け入れ体制について説明し、市町村と連携した支援体制や、参入相談から営農開始後までの一貫したサポート、各種助成等を紹介した。

最後に、陣内芳博九経連副会長・農林水産委員長が、「企業による農業参入は担い手不足と雇用創出に寄与し、地域活性化にもつながり得る」と総括した。

【産業政策本部】

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