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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年11月8日 No.3384 プラスチック資源循環戦略の論点・課題について聞く -環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会

政府は来年6月のG20大阪サミットに向けて「プラスチック資源循環戦略」(以下、プラ戦略)を今年度中に策定すべく、中央環境審議会において議論を行っている。

そこで、経団連は10月24日、東京・大手町の経団連会館で環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会(山田政雄部会長)を開催し、廃棄物工学研究所の田中勝研究所長から、プラ戦略の論点・課題について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 報道からみるプラスチック問題と求められる対応

海洋に流出したプラスチック製品や、微細化したマイクロプラスチックが魚などの体内から発見され、生態系への影響が懸念されている。これは、プラスチックが分解されるまでに長い時間を要することに起因する。

海洋プラスチックごみには、風で舞ったごみ袋など、非意図的なものも含まれる。途上国においてオープンダンピング(野積み)されたプラスチックごみも、風で河川や海へと運ばれている。

昨今の報道では、紙製ストローへの代替が注目されているが、それだけで問題解決はできず、冷静な対応が必要である。

■ 循環型社会におけるごみ処理

資源は、われわれの生活や経済活動により廃棄物となる。わが国において、廃棄物は適正処理または循環利用されているが、不適正処理された場合は時として海洋プラスチックごみの原因となる。

廃棄物処理の基本は、公衆衛生の向上および生活環境の保全であり、わが国における焼却は、廃棄物の最終処分量の削減を含めて大きく貢献している。

■ 最適なごみ処理の評価、LCA解析による合理的な処理

廃プラスチックの合理的な処理を考える手法として、LCA(ライフサイクルアセスメント)がある。ある自治体の事例では、プラスチックの焼却により、処理費用が減る試算結果となった。かつてプラスチックは焼却不適ごみとされていた。一方、プラスチックは高カロリーである。他国に比べて焼却施設が多く、そこに発電・熱利用設備があるわが国では、プラスチックの焼却は熱エネルギー回収、化石燃料の消費削減、二酸化炭素の排出低減に貢献できる。

また、他の先進国に比べ、わが国のリサイクル率は低い値が示されている。これは、家電リサイクル法の該当品目など、家庭から直接処理にまわるものを含まないことなどが理由であり、一概に比較できない。

■ プラ戦略の論点と課題

中央環境審議会のプラスチック資源循環戦略小委員会が示した戦略(素案)に、7つの論点が示されている。そのなかの再生材の利用に関しては、経済合理性があれば、おのずと使用量が増えていく。また、焼却の技術が高いわが国においては、熱回収を含めた廃プラの100%有効利用に積極的に取り組むべきである。

◇◇◇

あわせて、環境省から「プラ戦略(素案)」について説明を聞くとともに、プラ戦略に関する経団連意見(案)および事例集の審議を行った。

【環境エネルギー本部】

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