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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年11月15日 No.3385 経産省から今後の環境政策にかかる方向性聞く -環境安全委員会・地球環境部会

今年度は、気候変動対策や廃棄物・リサイクル対策などの環境政策の諸分野において、国内外で重要な動きがみられる。

そこで、経団連の環境安全委員会(杉森務委員長、小堀秀毅委員長)と同委員会地球環境部会(榮敏治部会長)は10月26日、東京・大手町の経団連会館で合同会合を開催し、経済産業省の飯田祐二産業技術環境局長から、今後の環境政策にかかる方向性について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ パリ協定に基づく長期戦略の策定

パリ協定は、すべての国が長期低排出発展戦略を策定するよう努力規定として求めている。日本として、来年6月に大阪で開催予定のG20サミットをめどに長期戦略の大きな方向性を示すべく、現在、「パリ協定長期成長戦略懇談会」において、経産省・環境省・外務省の三省が中心となって議論を行っている。

経産省としては、安倍首相の指示を踏まえ、環境と経済成長の好循環を実現する成長戦略として、(1)グリーンファイナンスの推進(2)イノベーションの促進(3)ビジネス主導による海外における排出削減支援――を3本柱に検討を進めていく。

特に、グリーンファイナンスの推進については、気候変動のリスクだけでなく、将来のビジネス機会の獲得に向けた取り組み等を開示し、投資資金の流れを向けていくことが重要である。こうした観点から、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示を行うためのガイダンスを作成すべく、経産省では「TCFD研究会」を設置し、検討を進めている。日本企業の強みを活かした情報開示の相場形成に向けて、多くの開示事例の創出がカギとなることから、企業には、TCFDへの積極的な賛同と情報開示をお願いしたい。

■ COP24に向けて

2020年からのパリ協定の実施に向けて、12月にポーランドで開催予定のCOP24(国連気候変動枠組条約第24回締約国会議)で、実施指針の合意が目指されている。

実施指針の国際交渉は合意に向けたモメンタムは高まっているが、引き続き予断は許さない状況にある。米国を含むすべての国が参加すること、途上国の着実な排出削減が約束される枠組みとなることが不可欠である。

■ 海洋プラスチック問題について

今日、海洋プラスチック問題がメディアを賑わせている。プラスチックごみの問題は先進国だけでなく、途上国も含めた世界全体で議論すべき問題だ。来年6月のG20においても議論を行い、わが国の取り組みを発信していく予定である。

プラスチック自体を悪者にするような声が一部で聞かれるが、プラスチックごみの適切な管理が課題であり、消費者の行動変容をいかに促していくかも重要となる。問題の解決に向け、産業界の自主的な取り組みもプレイアップしていきたい。

◇◇◇

飯田局長との意見交換後、「パリ協定下での実効性と公平性ある地球温暖化対策の実現に向けて(案)」 「『グローバル・バリューチェーンを通じた削減貢献』のコンセプトブック(案)」 「経団連低炭素社会実行計画2018年度フォローアップ結果速報版(案)」 「プラスチック資源循環戦略策定に関する意見(案)」 「SDGsに資するプラスチック関連取り組み事例集(案)」について審議が行われ、いずれも了承された。

【環境エネルギー本部】

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