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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年12月6日 No.3388 ピュー・リサーチ・センターから貿易に関する米国の世論調査結果について聞く -アメリカ委員会企画部会

経団連のアメリカ委員会企画部会(守村卓部会長)は11月12日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、米調査機関ピュー・リサーチ・センターのブルース・ストークス部長から、米国を中心とした経済および貿易に関する世論調査結果について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 貿易一般および貿易の利点に関する評価

米国人の74%が、一般論として、貿易は国にとってよいものと考えているが、回答には党派性があり、共和党支持者(81%)の方が民主党支持者(71%)よりも貿易の支持者が多い。2014年と現在を比較すると、「貿易はよいことであり、物価を下げ、雇用を創出し、賃金を上昇させる」と考える米国人は増加している。これは、米国人の景況感が改善したためである。また、学歴・所得が高いほど、貿易それ自体および貿易の利点を肯定している。党派別では、共和党支持者よりも民主党支持者の方が、貿易およびその便益に否定的立場である。この結果は、民主党支持者が元々そのような見解を持っているからであるのか、それとも、民主党支持者は共和党支持者よりも景況感がよくないからであるのかは、わからない。

■ 貿易相手の公正性に関する評価

1980年代、米国人にとっての不公正な貿易相手は日本であったが、現在は中国である。ギャラップ社の調査によれば、93年には、米国人の4分の1しか日本を公正と考えていなかったが、現在は、半数以上が公正と考えている。共和党支持者の間では25%ポイント増加して46%が、民主党支持者の間では38%ポイント増加して65%が、日本を公正な貿易相手と評価している。共和党支持者で相対的に評価が低いのは、共和党の大統領が「日本は不公正である」と発言していることが関連すると思われる。

■ 他国への追加関税賦課に関する評価

圧倒的に多くの米国人が、「他国への追加関税賦課は米国経済を害する」と考えているが、ここにも党派色がみられる。共和党支持者は2対1の割合で「米国経済の助けとなる」と回答し、民主党支持者は7対1の割合で「米国経済を害する」と回答している。また、学歴が高いほど、米国経済を害すると考える傾向にある。しかし、同じ大卒以上であっても、共和党支持者は追加関税を米国にとってよいことと考え、民主党支持者は米国にとって悪いことと考えている。米国を理解するためには、米国が党派によって深く分断されている社会となっていることを受け入れる必要がある。

■ 2020年大統領選挙

2016年の選挙においては、かつてないほど、貿易が争点になり、トランプ大統領当選の助けとなった。20年の選挙運動においても、トランプ大統領は貿易を論点にする可能性がある。民主党については、進歩的な候補者が出現した場合であっても、その候補者を支持する若者は貿易支持者である場合も多い。候補者の貿易に関する見解と支持者の貿易に関する見解を混同してはならない。

【国際経済本部】

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